ダイハツ「ロッキー」&トヨタ「ライズ」に待望のHV追加! 走りも燃費も「お値段以上」!?

HV、自然吸気、ターボという3つのエンジンをラインナップ

 シャシ側は、もともとロッキー/ライズが用いるDNGAは電動化を視野にいれた設計だったため変更は最小限で、システム搭載による重量増に対応するために、アンダーボディやバルクヘッド周りに補強をプラス。

 これに加えてサスペンションの最適化や、エンジン回りや床下を中心に遮音材/制振材の最適配置などもおこなわれています。

新開発の1.2リッターエンジンを搭載するダイハツ「ロッキー」
新開発の1.2リッターエンジンを搭載するダイハツ「ロッキー」

 その印象は、ガソリン車で「もう少しこうだったらいいのに…」という部分が解消。具体的にはステアフィールが、とくに中立付近のシッカリ感が増しているのと、操舵初期に上屋がグラッと傾くような動きがなくなっていました。

 この辺りは電動化により重量が増したことによるタイヤの接地性アップや、低重心化や重量バランス改善などが効いているのでしょう。

 快適性も実用域で突っ張った印象が薄れただけでなく、むしろ重さを活かしたシットリとした足の動きで快適性も高められていました。

 価格(消費税込)は通常仕様の「X HEV(2WD)」が211万6000万円、上級仕様「プレミアムG HEV(2WD)」が234万7000万円と、ガソリン車+30万弱となっていますが、個人的には「おっ、値段以上」の価値がプラスされており、まさにニトリのような一台だと感じました。

 電動車の投入に慎重だったダイハツが満を持して投入するeスマートハイブリッド、今後は軽自動車への展開もおこなわれる計画なのでそちらも楽しみです。

 ちなみにeスマートハイブリッド追加に合わせて、ガソリン車のエンジンラインナップも刷新され、FFモデルは同じ直列3気筒ながら1リッターターボが1.2リッター自然吸気に変更。

 1.2リッター自然吸気の「WA-VE型」エンジンは、高速燃焼/燃料の微粒子化促進/効率的なヒートマーネジネントをおこなう構造などにより、87馬力/113Nmのパフォーマンスに加えて全領域で熱効率を大きく向上。

 燃費(WLTCモード)は20.7km/Lと1リッターターボ(17.4km/L)を軽く上回ります。ちなみに4WDモデルは1リッターターボが継続されます。

 個人的には1リッターターボはポテンシャルが高いと評価していたので、今回のエンジン変更は残念に思っていましたが、実際に乗ったら「そりゃ、こんなエンジンできたら替えるよね」を実感。

 実用域のトルクの太さとトルクバンドの広さは1.2リッター自然吸気とは思えないレベルで、D-CVTの巧みな制御も相まって、1リッターターボが完全に霞んでしまうような出来栄えです。

 しかし1リッターターボのように高回転までストレスなく軽快に回るような爽快感はなくなっていますが、クルマのキャラクターや用途を考えると、「日常領域ベスト」のこのエンジン特性は間違っていないと思います。

 1.2リッター自然吸気の気になる実燃費は、一般道・首都高を流れに沿ったペースで走って18km/Lから19km/Lを記録。1リッターターボの実用燃費はあまり褒められる数値ではなかったので、大きな進歩だといえそうです。

 今回はパワートレインの刷新に加えて、装備/機能の充実化も実施。上級グレードに電子パーキングブレーキ(オートブレーキホールド)の採用、「タフト」から採用された新ステレオカメラの水平展開による予防安全機能の性能アップ、新色(スムース・グレーマイカメタリック)の追加などもおこなわれています。

 個人的には電子パーキングブレーキ採用でACCが全車速追従式になったのは嬉しいもののその制御はかなり粗く、前方車両の認識が遅いのでカックンブレーキになりがちなのが気になりました。

 この辺りはカメラの認識力ではなく制御の問題とのことなので、さらなる進化に期待したいと思います。

 eスマートハイブリッドと新開発の1.2リッター自然吸気エンジンは、ロッキー/ライズの魅力をさらに引き上げる「強い武器」といえるでしょう。

 販売面ではこれまでもロッキー/ライズを足すと常にトップ5に位置する販売台数を記録していましたが、今回の進化でさらに伸びるのは間違いないです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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