「スーパーハイトは広すぎる…」 背が高すぎない「軽ハイトワゴン」が最強のクルマだった!?
軽自動車界で数年前からスーパーハイトワゴン人気が続いていますが、実際はそこまで頭上の空間が不要だったり、背の高さゆえの弊害も多そうです。そこで、スーパーハイトワゴンではなくあえてハイトワゴンを選んだオーナーに、日常での使い勝手などについて聞いてみました。
ハイトワゴン人気復活の兆しも?
ここ数年、軽自動車の販売ランキングでは絶対王者のホンダ「N-BOX」を筆頭に、「スーパーハイトワゴン」と呼ばれる全高が1700mmを超えるモデルが上位を独占していました。
サイズに厳密な規定がある軽自動車だけに、広い居住空間を求めるユーザーがスーパーハイトワゴンを好んできたわけですが、そこまでの広さを十分使いこなすことはなく、むしろ背の高さによる不満や弊害の声もチラホラ聞こえてくるなど、この傾向に少しずつ変化が出始めているようです。

全国軽自動車協会連合会が毎月発表しているランキングでは、2021年上半期(4月から9月)は、ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」といったスーパーハイトワゴンが上位を独占。
しかし2021年10月のランキングでは、スズキ「ワゴンR」がトップに躍り出て、日産「ルークス」が続き、絶対王者のホンダ「N-BOX」が3位に交代する波乱が起こりました。
5位にスズキ「ハスラー」、7位にダイハツ「タフト」といったRV色を強めたモデルを含めて「ハイトワゴン」が躍進しており、静かに潮流が変わりつつあります。
とくにワゴンRは、後部スライドドアを採用した「ワゴンRスマイル」が2021年9月に追加設定されたことが販売の後押しになったことが考えられますが、背が高すぎないハイトワゴンの人気が盛り返してきているといえます。
スーパーハイトワゴンとハイトワゴンの違いに明確な基準はないものの、全高1700mm以上をスーパーハイトワゴン、それ以下をハイトワゴンと区分がなされているようです。
そしてこの全高は、広い室内区間(とくに頭上)を稼ぐための手段として採用され、実際に小さい子どもなら立ったまま着替えができるほどの室内高だったり、余裕ある頭上空間が多人数乗車でも狭さを感じにくいというメリットがあります。
ただ軽の規格では「乗車定員4名」と定められており(大人2名+12歳以下の子ども3人まではOK)、シートに座ってしまえば広大な頭上空間はそれほど必要でないと気づいたユーザーが、軽本来の乗りやすさや扱いやすさなどを考慮した結果、ハイトワゴンに回帰している可能性があります。
そもそも軽セダンで不満となっていた狭い車内空間を解消すべく、ハイトワゴンという少し背が高いモデルが誕生したという経緯があります。スーパーハイトワゴンと比較して、ハイトワゴンのメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
まず、ハイトワゴンは高い実用性を犠牲にすることなく、軽快な走りが期待できます。スーパーハイトワゴンはスライドドアを採用するモデルが特徴になっていますが、ハイトワゴンは、通常のヒンジ式リアドアがメイン。
ワゴンRスマイルのようにスライドドアを装備するモデルもありますが、スライドドアは重量があることから、ヒンジドア採用は軽量化や燃費の向上につながります。
また車高が低くなることで重心が下がり、コーナリングでの挙動が安定しやすくなるメリットがあります。
とくにトレッド(左右のタイヤの間隔)が決められている軽自動車では、重量物が上にあるだけでかなり重心の位置が変わります。低重心になることで走行だけでなく日常でも運転がしやすくなります。
次に考えられるのが乗降性と見切りの良さです。全高が1600mm前後あれば乗り込むときに頭をかがめる必要がなく、着座位置は高すぎず低すぎずというちょうど良いポジション。それでいて初心者でも車両感覚がつかみやすいのは大きな魅力でしょう。
ちなみに、スーパーハイトワゴンはフロントウインドウの角度が立ち過ぎており、これが大きなデメリットにもなっています。
その点、ハイトワゴンは非常に乗りやすいシートポジションと、シートアレンジを活用すれば大きなものでも積載できる実用性を兼ね備えるなど、トータルバランスの良さが魅力です。





























