使い切れるパワーで安くて楽しい! 一世代前の格安ホットハッチ3選

安全性と経済性でクルマを選ぶなら、最新モデルを買うことをおすすめします。しかし、ドライビングプレジャーを重視するならば、一世代前のモデルでも十分に魅力的です。そこで、格安な価格で中古車が狙えるちょっと前のホットハッチを、3車種ピックアップして紹介します。

格安の価格で中古車が販売されている一世代前のホットハッチを振り返る

 自動車メーカーのたゆまぬ努力によって、クルマの技術は常に進化を続けています。そのため、安全性と経済性はここ10年ほどで飛躍的に向上しました。

ドライビングプレジャーあふれる安価なホットハッチたち
ドライビングプレジャーあふれる安価なホットハッチたち

 いいかえると、クルマ選びの際に安全性と経済性を重視するならば、最新モデルを買うのがベストな選択です。

 一方、ドライビングプレジャーを重視する場合、一世代前のモデルでも十分に堪能できます。

 もちろん、動力性能を考えると最新モデルの方が優れているケースが一般的ですが、運転する楽しさと出力の高さは必ずしも一致せず、むしろ使い切れるくらいのパワーのクルマの方が、ドライビングプレジャーという点では大いに魅力的です。

 そこで、格安な価格で中古車が狙えるちょっと前のホットハッチを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ3代目「ヴィッツ RS」

性能的には飛び抜けてないものの走る楽しさを重視した3代目「ヴィッツ RS」

 1999年に誕生したトヨタ初代「ヴィッツ」は、デザイン、操縦性、経済性、居住性が高く評価され、コンパクトカーの新たなベンチマークとなり、国内外で大ヒットを記録しました。

 そして、2020年にグローバルで車名を統一した「ヤリス」へと移行し、3代目をもってヴィッツは消滅しました。

 この3代目ヴィッツは2010年に登場し、マイナーチェンジによる外観の違いなどから、前期、中期、後期に大きく分けられます。

 スポーティなグレードは前期型と中期型では「RS」、最終モデルの後期型ではRSと2017年モデルからは「GRスポーツ」と「GRスポーツ“GR”」がスポーティグレードとなっています。

 RSはシリーズ共通の最高出力109馬力を発揮する1.5リッターエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTとCVTを設定。

 ボディは専用の前後バンパーとルーフスポイラーが装着される程度で、車重は前期型のMT車で1020kgと軽量です。

 足まわりでは前後にスタビライザーを装着した強化サスペンションにブレーキは4輪ディスクが奢られ、内装もスポーツシートや革巻きハンドルを標準装備。

 また、2015年のマイナーチェンジでは、衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全技術「トヨタセーフティセンスC」が搭載されました。

 前期、中期にラインナップされたRSのMT車は、比較的低走行の物件でも60万円台から80万円台が中心で、さらにボディ剛性を強化して専用のフロントフェイスが与えられた「RS G’s」でも、100万円前後から狙えます。

 ただし、後期型のGRスポーツ、GRスポーツ“GR”は180万円以上の物件も多く、高値安定の状況です。

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●スズキ3代目「スイフトスポーツ」

歴代に共通する軽量ボディが好印象な3代目「スイフトスポーツ」

 現行モデルのなかでもホットハッチの代表的なモデルとして君臨するのが、スズキ「スイフトスポーツ」(4代目)です。

 MT車でわずか970kgと軽量な車体に、最高出力140馬力のパワフルな1.4リッターターボエンジンを搭載し、本格的なスポーツコンパクトカーに仕立てられています。

 一方、2011年にデビューした一世代前の3代目は、いまでは貴重な1.6リッター直列4気筒自然吸気エンジンを搭載。最高出力136馬力と同クラスではハイパワーとはいえませんが、1トン強の軽量な車体には十分な出力です。

 トランスミッションはシリーズ初の6速MTと、パドルシフト付7速マニュアルモードを採用したCVTを設定。

 外観は専用デザインの前後バンパーやルーフスポイラー、左右2本出しのマフラーなどを装備することで、スポーティさを強調しています。

 また、4代目は3ナンバーサイズにボディを拡大していますが、3代目は5ナンバーサイズに収まるコンパクトボディで、日常の使い勝手という点や、駐車場事情が良くないユーザーには適しているといえるでしょう。

 コンパクトなボディはとくに狭いワインディングで威力を発揮し、専用セッティングの足まわりと4輪ディスクブレーキと相まって、ドライビングプレジャーは4代目に引けを取りません。

 3代目スイフトスポーツは2016年まで生産され、現在も中古車の物件数も豊富で高年式の低走行車でも100万円前後で入手可能です。

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●ミニ2代目「ミニクーパー」

プレミナムなコンパクトカーで走りも秀逸な「ミニクーパー」

 2001年に誕生した「ニューミニ」はBMWによって開発され、オールドミニをオマージュしたポップなデザインと、優れた運動性能から世界中で大ヒットを記録。

 そして、2007年にはデザインやパッケージングを初代からキープコンセプトとした、第2世代のミニが日本で発売されました。

 ボディは3ドアハッチバックで、グレード構成は初代と同じくエンジンのチューニングと装備が異なる、ベーシックな「ワン」、スポーティな「クーパー」、ターボを装着したトップグレードの「クーパーS」をラインナップ。

 ワンとクーパーには1.6リッター直列4気筒自然吸気エンジン、クーパーSには最高出力175馬力の1.6リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、トランスミッションは6速MTと6速ATを設定しています。

 クーパーに搭載された120馬力(後に122馬力に向上)の1.6リッター自然吸気エンジンは、決してパワフルではありませんがレスポンスが優れ、コンパクトな車体にはベストマッチといえます。

 また、足まわりはフロントにストラット、リアがマルチリンクと、このクラスでは貴重な4輪独立懸架で、優れた路面追従性からゴーカートフィーリングを継承していました。

 その後、2014年に現行モデルの第3世代へとフルモデルチェンジすると全車ターボエンジンとなり、クーパーのエンジンは1.5リッター直列3気筒にスイッチされました。

 現在、2代目ミニクーパーの中古車は120万円前後の価格帯が中心で、6速MT車は数が少ないもののプレミア価格には至っていません。

※ ※ ※

 比較的安価で高性能なコンパクトカーは、現行の国内ラインナップではだいぶ少なくなってしまいました。

 たとえば、ホンダ「フィット」は現行モデルにRSグレードが設定されておらず、日産「ノート」も全車e-POWERになったため、「NISMO S」にラインナップされたMTモデルは消滅。輸入車でもフォルクスワーゲン「up! GTI」が2020年に販売終了となってしまいました。

 しかし、前述のスイフトスポーツなど現役のモデルが存在します。今後、電動化が進むうえで安価なホットハッチが生き残れるかはわかりませんが、今ならまだまだ楽しめます。

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