なぜ韓国は「尿素水」不足?ディーゼル車に必須! 日本の乗用/商用に影響は?
日本は現状問題なしも、アドブルーの価格は上昇中
韓国では大きな影響が出ている尿素水の不足ですが、日本は大丈夫なのでしょうか。
結論からいえば、韓国ほどの影響はないといえそうです。
前述のとおり韓国で尿素水が不足した原因は、原料となるアンモニアのほとんどを中国からの輸入に頼っていたことにあります。
しかし、日本の場合はアンモニアの多くを国内で生産することができており、輸入に依存していません。
資源エネルギー庁の発表によれば、2019年の日本国内のアンモニア消費量は約108万トンですが、約78.3%となる84.6万トンを国内生産でまかなうことが可能です。
残りの約21.7%は、インドネシアとマレーシアから輸入をしているため、今回の中国との経済摩擦とはほぼ無縁といえます。
日本がアンモニアを自国生産できている理由はさまざまですが、そのひとつはやはり石炭を安定して輸入できていることにあります。
現在、日本は石炭の約99%を海外からの輸入に頼っていますが、その輸入元は、オーストラリア、インドネシア、ロシア、カナダなどです。
これらの国とバランス良く外交関係を築いていることで、日本は石炭を安定して供給ができていることから、それに起因してアンモニアも安定して供給できているといえます。
とはいえ、日本の尿素水事情も楽観視できません。
現在、韓国は自国の尿素水不足を解決するために、諸外国へのアプローチを進めていますが、当然日本にも尿素水の輸出のオファーがあるようです。
しかし、日本政府や関連企業は、日本国内での尿素水の供給体制も決して満足できる状態ではないとして、韓国への尿素水輸出には否定的です。
実際、日本国内での尿素水(アドブルー)の価格も上昇しており、一部では影響も見られるようです。
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一般には馴染みの薄い尿素水ですが、ディーゼル車以外にもさまざまな用途で用いられており、原料となるアンモニアは農業用途などさらに多くの産業を支える資源のひとつです。
韓国も尿素水の確保に努めており、供給は徐々に回復しつつあると見られますが、世界情勢の動きひとつで大きな影響を受けてしまうことがあるという点では、日本も決して対岸の火事とはいえないでしょう。
アドブルーは日本国内でも品薄で価格も高騰しています。
メーカーは新規受注を見合わせていて、販売店も在庫目的の発注はやめて欲しいと要望してきています。
尿素水を使わない古いタイプのトラックが見直されるかもしれません。