なぜ「EVバイク」は普及しづらい? 世界的な電動化シフトでクルマと異なる問題点とは

使いみちは限定的も、活用が進む電動バイク

 現状では、航続距離が限定されているとはいえ、電動バイクに使いみちがないわけではありません。

 例えば、配送ルートがある程度固定されている配達用途であれば、航続距離の中で使用することができます。

 また、電動アシスト自転車のようにバッテリーが交換可能なカートリッジ式が採用されている電動バイクであれば、もし充電残量が少なくなっても拠点に戻ってバッテリーを交換すればそのまま走行を継続することが可能です。

 中国のEVメーカーなどでは、クルマ(EV)でもバッテリー交換システムが採用されている場合がありますが、日本ではまだ導入されていません。

 クルマ(EV)のバッテリーは相当な重量があるため、ユーザーが自力で交換するのはまず不可能ですが、電動バイクの小型軽量なバッテリーであれば、ユーザー自身の交換はそれほど難しくありません。

 こうした特性を活かして、新聞配達や郵便局などで電動バイクが導入されている事例があり、とくに深夜や早朝に業務をおこなうことの多い新聞配達では、電動バイクの静音性もメリットのひとつとなっているようです。

外部充電が可能なホンダの『PCX ELECTRIC(125ccクラス)』
外部充電が可能なホンダの『PCX ELECTRIC(125ccクラス)』

 いずれにせよ、電動バイクが既存のガソリンバイクと同等の性能を持つようになるためには、まだ時間がかかりそうです。

 しかし、コンピューターの世界では「ムーアの法則」と呼ばれる、技術革新は加速度的に進歩するという予測もあり、急激に普及が進む可能性もあります。

 また、バイクはクルマよりも参入障壁が低いということもあり、国内外のベンチャー企業がEVバイクの開発に乗り出しています。

 そのなかには現状低品質なものもあるのが実情ですが、もしかしたら画期的な電動バイクの登場は、大手メーカー以外からになるかもしれません。

※ ※ ※

 中国などの国では、原動機付自転車スタイルの電動バイクがかなり普及しています。

 移動手段の充実している日本では、そうした電動バイクの需要はそれほど大きくありませんが、世界的に見れば電動バイクのニーズは決して少なくはないでしょう。

 現状ではクルマに比べて落ち着きを見せているバイクの電動化ですが、国内外の大手バイクメーカーが将来的な電動バイクの開発・販売を表明しており、バイクの世界でも遅かれ早かれ電動化が進むことは間違いないようです。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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