クルマの小キズはどう直す? DIYで補修できるのはどんなキズ? 失敗しない方法とは
クルマのボディは気付かぬうちに細かいキズが入ってしまうことってあります。キズの程度によっては自分で補修できることもありますが、一体どのようにしたら良いのでしょうか。
クルマをキレイにするはずの洗車が逆に細かいキズをつけることも
新車のときにはピカピカだったボディも、いつのまにか細かなキズが付いてしまうことがあります。クルマをぶつけた覚えはないのにキズを発見すると誰しもショックを受けるでしょう。
手に負えないような深いキズはプロに任せるのが良さそうですが、小さなキズであれば自分で補修できそうです。
ボディに付いた小キズをDIYで目立たなくさせる方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
まず、クルマのキズはいくつかの種類に分類されます。
「ひっかきキズ」は、爪などでひっかいたように付いた細かい線状のもので、ボディやルーフ、ドアノブ周辺などにつく細かいキズのことです。
砂やホコリが付着した状態で無理やりクロスがけなどをすると付いてしまう、いわゆる「洗車キズ」も含まれます。
また、こすった記憶もないけれど、無意識のうちに付いてしまうキズもあります。たとえば小枝や葉などにボディが触れてしまったり、走行中の飛び石などが当たる場合などさまざま。
こういった細かいキズが光を受けたときに乱反射を起こし、白っぽく見えたりすることがあります。
もう少し深刻なのが「こすりキズ」です。狭い道などでガードレールや縁石、塀などにこすってしまった場合にできる複数のすりキズのことで、その程度によっては塗装面をえぐり、下地が出てしまうこともあります。
ボディに何かをぶつけてしまうとできるのは「へこみキズ」です。ドアの開閉時に柱や塀にぶつけてしまった、また雪の重みや雹(ひょう)などが降ってくることで、へこんでしまうこともあります。
またコンクリートなどの硬いものにぶつけてしまうと、塗装面にもキズが入ることも多く、キズとしてはもっとも深刻な部類になります。
自分である程度の補修できるキズは、「ひっかきキズ」や「こすりキズ」まででしょう。「へこみキズ」は特殊な工具が必要で工程も複雑なので、プロに任せたほうが仕上がりもキレイです。
そんな細かいキズへの対処法を、都内の整備工場に勤務する現役整備士のT氏に聞いてみました。
まずT整備士いわく、市販されている補修剤は「キズ消し」ではなく「キズを目立たなくさせる」ためのものだといいます。人間の目には判別しにくいように周囲の塗装面を薄く削り(または埋めて)周囲との差を減らすことで、キズを目立たなくするのだそうです。
「キズが目立つ原因は、キズのなかに入り込んだ汚れです。この汚れを取り除くだけでもかなりキズは目立たなくなります。まずは入念に汚れを落とすことでキズの大きさや深さを確認できるようになります」
とはいえ、通常の洗車では入り込んだ汚れを取り除くのは至難の技です。ボディ表面には汚れだけでなく、ボディを保護しているコーティング剤やワックス、クリア塗装などが膜となっており、キズを付きにくくしています。
こういった保護剤は油系が多く、補修にはまず表面の不純物を取り除く、いわゆる「脱脂」することで作業がしやすくなるのだとか。
「脱脂作業では、塗装面の付着物(コーティング剤なども含む)の除去が重要になります。脱脂する場合はカー用品店などでも入手可能なパーツクリーナーなどが効果的ですが、中身の石油系溶剤がボディ表面のクリア塗装を溶かしてしまう恐れもありますので、クリア塗装面を溶かしすぎないように注意しながら取り扱う必要があります。
慣れていない人は、まずはカーシャンプーなどで十分に汚れを落としてみてください」(整備士 T氏)
キズを目立たなくさせる方法としては、新たにコーティング剤などを使用して薄い溝を埋めてしまうか、それともコンパウンドなどの研磨剤で塗装面を均一に研磨してキズ周辺との差を減らす方法があります。どちらが便利なのでしょうか。
「市販されているガラスコーティング剤などは、この細かいキズを上手に埋めてくれるので、細かい洗車キズレベルであればコーティングしてみてください。けっこう目立たなくなっていると思います」
まずはコーティング剤で傷が目立たなくなるかを試してみるのも良さそうですが、それでも消えないキズに関しては、その深さを確認する必要があるようです。
「キズの部分を触ってみて、引っかかりを感じるようなら塗装面や下地までの深いキズになります。また塗装面の下にある鉄板層まで見えているようなら、単なるキズ消しでは難しく、再度塗装するなどの補修作業が必要になってしまいます」(整備士 T氏)
線状のキズであれば市販のタッチペンなどで補修することもできそうですが、じつはタッチペンは塗りムラや跡が残ってしまうことも多く、テクニックが必要な作業になります。
「我々もタッチペンを補修用塗料として使用することはありますが、フタについているブラシなどは使いません。爪楊枝などで少しずつ溝を埋めるように使うことはあります」(整備士 T氏)
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