新車の多くがSUVかミニバンなのに教習車はセダン! 初心者が戸惑う運転感覚の違いとは
自動車教習所では依然としてセダンの教習車が多いのですが、現在市場に出回っているクルマはSUVやミニバンが圧倒的に増えています。初心者がSUVやミニバンを運転するときの注意点などを教習所の元教官に聞いてみました。
SUVが人気でも、セダンの教習車が依然として多い
運転免許を取得したばかりの初心者にとって、運転中にもっとも気を使うのが車両感覚でしょう。
自分のクルマや家族が所有するクルマ、またはレンタカーなど、形状もボディサイズもさまざまで、いつもと違うクルマに乗ると車両感覚を掴むのが難しかったりするものです。
実際、現在の売れ筋はSUVやミニバンなどボディも大きいものが多く、教習所で毎回乗っていたセダンとは大きく運転感覚が違うことに戸惑う人もいるようです。
そこで今回は、都内の教習所で指導員(教官)の経験があるB氏に、SUVやミニバン特有の運転感覚や注意点などを聞いてみました。
一般社団法人「日本自動車販売協会連合会」が発表した2021年上半期(1月から6月)の新車登録ランキングでは、1位トヨタ「ヤリス」(SUV「ヤリスクロス」の台数を内包)、3位トヨタ「アルファード」、5位トヨタ「ハリアー」、6位トヨタ「ライズ」、8位トヨタ「ヴォクシー」、9位ホンダ「フリード」、10位トヨタ「シエンタ」とトップ10の半数以上がSUVまたはミニバンです。
SUV・ミニバン以外は、コンパクトカーやコンパクトハイトワゴンが市場を独占している状況となっています。
SUVやミニバンなどが圧倒的に売れているにもかかわらず、教習車の多くがセダンを採用。免許取得後に家族が所有するSUVやミニバンに乗って、車両感覚や運転感覚の違いで軽微な衝突や事故などを起こしてしまうケースもあるようです。
このボディ形状の違いによって生じる車両感覚の違いについて、教習所の元指導員B氏は次のように説明します。
「やはり教習所では『基本的なクルマのカタチ(最大公約数)はセダン』という固定観念があるのも事実です。しかし最近では多様化するニースに合わせて、SUVを導入している教習所もチラホラあると聞いています。
一時は輸入車を教習車にするケースで話題を集めることもありましたが、これだけSUVが主流になってくると、教習車に採用されるケースが増えるかもしれません」
実際、都内の高級住宅地エリアにある教習所では、クロスオーバーのBMW「X1」など輸入車を教習車として選択できるプランがあります。また広島県では高速教習車としてトヨタ「ハリアー」を採用しているニュースも話題になりました。
では、SUVやミニバンの車両感覚は、セダンと比較してどこが大きく違うのでしょうか。
「もっとも異なる点は、高いヒップポイントによる視界の違いです。大きく広いウインドウのおかげで視界は良好なのですが、ボディも大きくなったことで死角も増えています。
また車重も重くなることが多く、コンパクトカーからの乗り換えでブレーキのタッチやコーナリングでの挙動の違いに戸惑うこともあるようです」(教習所の元指導員B氏)
初心者にとって車両感覚を掴むのは難しく、とくにSUVはフェンダーが膨らんだデザインのものもあり、サイドミラーから見えるボディサイドよりさらに幅があることを認識するのは至難の業といえそうです。
「あくまで個人の意見ではありますが、初心者が戸惑う原因のひとつとして、電動パワステの普及もあると思います。
既存の油圧式に比べステアリング操作が軽く便利ではありますが、そのぶん操作感が希薄といいますか、しっかり操作している感覚を感じにくいです。
本来は無理な挙動だからハンドルが重くなるところを、電動パワステで軽々を回せてしまう。結果として、ハンドルを切りすぎたりすることも多くなります」(教習所の元指導員B氏)
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