全面刷新! 高級SUV新型「NX」ナニが変わった? トヨタ・スバル技術をレクサス味に変えた!?

スバルの技術が盛り込まれた新型NXのAWDとは

 パワートレインは最近のモデルにしては珍しく多彩です。ガソリン車は2.5リッター自然吸気と新開発となる2.4リッターターボの2タイプを用意。

「2.5リッター自然吸気は廉価版と思われがちですが、駆動力は先代2リッターターボ以上の加速力を備えています。

 2.4リッターターボは走りを楽しむ人向けに3.5リッターV型6気筒をダウンサイズさせたユニットで、絶対的な力強さはもちろんですが、熱効率の高いターボやセンターインジェクション採用などによりエミッションも高いレベルを実現する新時代のターボです」(加藤チーフエンジニア)

 ハイブリッド車は、2.5リッター+高出力モーター仕様、そしてレクサス初となるPHEVのハード自体は「RAV4 PHV」と一緒ですが、システム出力227kWでNX専用制御となっています。

「レクサスはカーボンニュートラル実現に向けて電動化リッチな戦略を取ることを発表していますが、その答えのひとつです。

 UXではレクサス初のBEVを投入しましたが、新型NXはレクサス初のPHEVの設定となります。

 これもRAV4 PHVの二番煎じと思われがちですが、企画当初からNXへの展開を前提としたものです。

 最大の違いは駆動力コントロールでよりリアモーターを積極的に使う設定です。

 HEVもモーターサイズアップ(RXサイズを動かすパフォーマンスを備える)&バッテリーのリチウムイオン化により 駆動力をアップさせています」(加藤チーフエンジニア)

「NX350」には2.4リッターターボに組み合される「電子制御トルクスプリット式AWD」が採用される
「NX350」には2.4リッターターボに組み合される「電子制御トルクスプリット式AWD」が採用される

 駆動方式は、2.5リッターハイブリッドがFF/AWD、2.4リッターターボ/PHEVがAWDのみの設定となります。

 注目は、2.4リッターターボに組み合される「電子制御トルクスプリット式AWD」で、ハードは「GRヤリス」から水平展開、さらにその制御はスバルとの協業から生まれたものだそうです。

「レクサスの目指す走りの実現にはレスポンスのいいAWDが不可欠でした。

 そこでGRヤリス用の電制制御多板クラッチを使うことを決断したのですが、GA-Kにはそのまま搭載できず、プラットフォームにも大きく手を入れています。

 前後駆動力配分は50:50から75:25まで可変します。制御開発はスバルが直接開発に関わっているわけではありませんが、スバルと協業しているメンバーと車両開発を一緒におこなっています。

 楽しいクルマづくりの哲学を共有するスバルと、『クルマをどう動かすのがいいのか?』、『どう評価する?』、『そのための要素技術は?』など、さまざまな取り組みのなかで得た技術や知見をハード/ソフト共に入れ込んでいます。

 最終的にはレクサスの味になっていますが、スバルはある意味『AWDの先生』でもあるので、色々学ばせてもらいました」(加藤チーフエンジニア)

※ ※ ※

 先進安全技術も最新版で、「LS」に採用されたアドバンスドドライブの普及版となる最新のレクサス・セーフティ・システム+を採用。

 高度運転支援技術のひとつである「アドバンスド・パーク」はスマホでリモート駐車できる機能やスマホが鍵になるデジタルキーの採用など利便性も高められています。

 グレード構成は初代と同じくノーマル/Fスポーツのふたつですが、Fスポーツは見た目の差別化のみならず走りの部分に関しても今まで以上に明確な差別化がおこなわれています。

 その証拠に、売れ筋のハイブリッドは両グレードが設定されるも、2.4リッターターボはFスポーツのみ、逆に2.5リッター自然吸気はノーマルのみの展開となっていることからも明らかです。

 このようにハード/ソフトのすべてにおいて強力な武器で構成された新型NX。

 加藤チーフエンジニアは「すべてにおいてフルスイングで仕込みました」と語っています。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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