なぜトヨタ「アルファード」「限定カローラ」が安く買える? オリパラ仕様の中古車評価はなぜ低いのか
なぜ新車同様の極上車なのに、評価が低い?
これらの東京2020大会仕様のトヨタ車の評価で気になることがあります。
それは、新車同様の車両でありながら、意外と車両の評価が低いことです。
一般的に中古車の外装と内装はそれぞれ5段階(A/B/C/D/E)で評価され、そして総合評価はS/6/5/4.5/4/3.5/3/2/1と11段階での評価になっているのですが、この総合評価が東京2020大会仕様においては、4.5から5が中心となっています。
●例えば「ノア Si」の場合
・年式:2021年(R3年)
・車検:2024年6月
・走行距離:699km
・カラー:ホワイトパールクリスタルシャイン
・総合評価:4.5
・外装評価:B(外装うすい線キズあり・外装のり付き・塗装・シールなどの看板あり)
・内装評価:B(コンソール傷小・コンソールのり付き・天張傷小・ドア内張傷小・ドア内張すれ小・荷室・内張キズあり)
このように走行距離1000km以下、2021年5月登録といった「ほぼ新車同様」という中古車であっても、評価点が低いのです。
この理由について、関東地方のトヨタ認定中古車販売店は次のように話しています。
「走行距離が数百キロで登録からまだ3、4か月のクルマもあり、本来なら『新車同様』の扱いとなりますが、評価が低いのは東京2020大会のラッピングが施工されていることが理由です。新車とは外装が違っていることで評価点が低くなります。
また、内装もキレイに見えますが、実は大会運営で使用されるにあたってほぼすべての車両に専用アプリとそれを使うためのタブレットを設置しました。
そのタブレットを設置する際にビス止めしたあとや、糊付けのあとなどがあってそれが内装の評価を低くしています。
ただ、もちろん、使用に差し支えるものではなく、大きく美観を損ねるものでもありません。
ほとんどは気にならないレベルだと思いますが、トヨタ認定中古車として扱う以上は一般の中古車への評価よりも厳しくなるのです」
また、西日本のトヨタ認定中古車販売店は次のように話しています。
「東京2020大会で使われたというプレミア価値がある一方で、ラッピングは『ボディに何らかの加工をしている車両』と評価されるため外装の評価は下がります。
6段階の評価は車両の状態を正確に細かく入力して自動的に評価の数字が決まる仕組みになっています。
もちろん、購入されたお客さまがラッピングを剥がすのは問題ありません。
貼ってから数か月の車両であれば、ドライヤーの温風を当てるなどして剥がすことも可能といわれていますが、キレイに剥がすならやはり専門業者にお願いするのが良いでしょう」
※ ※ ※
実際、トヨタ認定中古車の評価システムに東京2020大会で使われたというプレミアムな価値は評価対象となっていないので、「中古車としての評価」だけを考えるなら、使用状況ゆえの評価となっているようです。
とはいえ、ゴールテープをイメージしたラッピングは「これぞ東京2020!」というプレミア感を出していますし、室内のビス止めあとも、オリンピックで使われた車両であることの証拠です。
57年ぶりの開催、数々の感動を与えてくれた東京2020で使われたクルマであることに価値を求める方には良い選択になるでしょう。
また、現在、日本の自動車メーカーは東南アジアでの新型コロナ感染拡大の影響で、トヨタをはじめ国内工場の減産体制を敷いているところも少なくありません。
新車の供給が滞っていることから、下取り車が入荷しないなど中古車市場にも影響が出ています。
このような状況のなかで、東京2020大会の中古車は新車同様の極上車が「即納」で入手できる魅力もあります。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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