AMGも道を譲るロールス・ロイス「コーニッシュ」のクルーザーのような乗り味とは

「クラシックカーをいま、実際に運転してみたらどうなのか?」という、素朴な疑問に答えるテストドライブ。記念すべき第1回目は、かつて「世界最高級パーソナルカー」と称されたロールス・ロイス「コーニッシュ」、しかも、希少なクローズドクーペを真夏の昼下がりに試乗してみました。

クラシックカーに乗ってみた! 1980年型ロールス・ロイス「コーニッシュ」

 ロールス・ロイス(R-R)コーニッシュは、1967年に「シルヴァーシャドウ・マリナー・パークウォード製ドロップヘッドクーペ/スポーツサルーン」の名で、姉妹車であるベントレー「Tマリナー・パークウォード製ドロップヘッドクーペ/スポーツサルーン」とともにデビューした。

 もともとの車名が示しているように、車体構造がモノコック化された新時代のR-R製超高級4ドアセダン「シルヴァーシャドウ」に、専用の2ドアクーペ/コンバーチブル型ボディを与えたもの。傘下のコーチビルダーである「マリナー・パークウォード」によって製作された少量生産のパーソナルカーだった。

「ワクイミュージアム」の創業者、R-R/ベントレーの分野では世界的なコレクターとして知られる涌井清春氏から借り出した貴重な個体
「ワクイミュージアム」の創業者、R-R/ベントレーの分野では世界的なコレクターとして知られる涌井清春氏から借り出した貴重な個体

●新車価格は同時代のスタンダードサルーン“シルヴァーシャドウ”の二倍以上!

 そののち1971年モデル以降は、V型8気筒OHVエンジンが従来の6230ccから6747ccに拡大されるなどのアップ・トゥ・デートを受け、新たにドロップヘッドクーペ/スポーツサルーンともに、そしてベントレーもともに「コーニッシュ」のペットネームが与えられることになる。

 コーニッシュでは、一般的にクローズドボディ版は「クーペ」と呼ばれるのだが、メーカーとしての正式呼称は、あくまでも古き良き英国車の伝統にしたがった「スポーツサルーン」。その名にふさわしく、後席も2名の大人がゆったり乗車できる仕立てとなっている

 また外観については、一見したところではスティール製のスタンダードボディを持つ量産4ドアセダン「シルヴァーシャドウ」に似ているようにも感じられる。しかし実は、名門コーチビルダー「マリナー・パークウォード」の熟練工が手叩きのアルミパネルから組み立てるという、馬車時代から綿々と受け継がれた手法にこだわって、1台1台を丹念に手作りしている。

 端正を極めたスタイリングに加えて、製作作業にはシルヴァーシャドウの2倍ほどの工程と製作期間を要したといわれる、ハンドメイドの逸品である。

 その成り立ちを思えば当然のことながら、当時の販売プライスは、同じロールス・ロイスでも一定数が量産されたシルヴァーシャドウの2倍以上に相当。同じくマリナー・パークウォードにて受注製作されていた最高級リムジン「ファントムVI」に近いものとなっていた。

 生産数が限定され、価格もきわめて高価だったコーニッシュながら、1970年代の欧米におけるポップカルチャーにも影響を及ぼすヒット作となる。

 そしてそののち、1975年ごろにベースとなるシルヴァーシャドウが「シルヴァーシャドウII」へと進化したのに伴い、大型バンパーやラック&ピニオン式のステアリング、より高度になった空調システムなどの大規模なマイナーチェンジが施されたものの、シャドウ系のように「II」が車名に添えられることはなかった。

 R-Rコーニッシュのスポーツサルーンは、アップデートされたのちの1981年までに、わずか1108台のみが製作されたという希少車。なかでもビッグバンパーの後期型は、生産期間がコンバーチブルより15年も短いぶんだけ生産台数も少ない。

 そんな貴重な1台を、今回は「ワクイミュージアム」の創業者、R-R/ベントレーの分野では世界的なコレクターとして知られる涌井清春氏から借り出し、テストドライブの機会を得たのである。

【画像】現在では作れないロールス・ロイスのインテリアとは(21枚)

「えっ!カッコいい!」 マツダの「スゴいSUV」登場! どこが良いの?

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー