マフラーの数はなぜ車種でバラバラ? 1本から4本で何が違う? EV化で消えるのか
エンジン車には欠かせないクルマのマフラー。車種によって、片側1本出しや左右2本出しなどバラバラなのは、なぜなのでしょうか。
マフラーの出口本数はダブルスタンダード
クルマには、排気ガスを排出させる「マフラー」がついています。
このマフラーは、クルマによって1本出しと2本出しなどがありますがこれにはどのような違いがあるのでしょうか。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載した内燃機関車は、ガソリンや軽油などの燃料を爆発させた力を原動力として走行します。
燃料を爆発させる際には、有害物質を含んだ排気ガスと爆発音が発生することになりますが、クルマのマフラーの基本的な役割はそれらを緩和することにあります。
マフラーには厳格な保安基準が定められており、騒音防止装置が備わっていることや、ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガスなどの発散防止装置が備わっていることが、細かく規定されています。
さらに、取り付け位置も細かく定められており、2009年1月1日以降に生産されたクルマのマフラーは、フロアラインを含む鉛直面から10mm以上突出してはならないと規定されています。
一方、マフラーの本数、正確にいえばテールエンドの本数についての明確な規定はなく、片側1本出しや片側2本出し、両側2本出しや両側4本出しなども存在します。
さらにカスタムカーイベントなどでは、8本出しのものなどにカスタムされたものも見ることができます。
スポーツカーや高級車のように、大排気量のエンジンを搭載しているクルマは、爆発音や排気ガスの量も大きくなるため、マフラーの本数を多くするか、もしくは大径化させる必要が出てきます。
また、排気効率を高めることでクルマのパフォーマンスも上がることから、モータースポーツの世界ではより排気効率の高い複数出しマフラーや大径マフラーが採用されています。
そこから転じて、両側2本出しマフラーや両側4本出しマフラーなどが、スポーツカーや高級車の象徴とみなされるようになりました。
このように、消音や排気ガスの浄化がマフラーの基本的な役割ではある一方、自動車ファンにとっては、リアエンドのルックスを向上させたり、好みの排気音を演出したりといった、ドレスアップのためのパーツという側面も持っています。
実際に、マフラーの交換はクルマのドレスアップやカスタムのなかでも、人気のあるジャンルのひとつであり、人気車種ごとに専用設計されたマフラーを多く見ることができます。
そうした社外マフラーのなかには、じゅうぶんな騒音防止装置が備わっていないものなど、保安基準に適合しないものもあるため、取り付けの際にはしっかりと確認することが求められます。