ハイブリッド車の「キーン音」なぜ鳴る? 静かな接近は危険? 安全対策とは

電気自動車やハイブリッド車が静かすぎることにより、接近に気付かない歩行者が危険な思いをすることはあり得るのでしょうか。

静かすぎるゆえの懸念。法整備、企業努力進む

 電動車は、モーターで走行する際にとても静かなことが特徴です。
 
 一方で静かすぎることにより、接近に気付かない歩行者が危険な思いをすることはあり得るのでしょうか。

最近のハイブリッド車や電気自動車には「車両接近通報装置」が義務付けられている
最近のハイブリッド車や電気自動車には「車両接近通報装置」が義務付けられている

 年々普及が進んでいる電動車のラインナップには、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HV)が含まれます。

 クルマが発する音の要因は、エンジンを搭載するモデルでればエンジン関連、排気音、走行音などが挙げられます。

 一方で、電動車は種類によってエンジンと併用するタイプもあるものの、モーターのみで走行する場合は、風切音とタイヤ、ブレーキなどの走行音のみです。

 日本で電動車は、ハイブリッド車の先駆者ともいえるトヨタ「プリウス」の登場以降、他社も追従する形でさまざまなモデルが登場しました。

 こうした高い静粛性を誇る電動車の普及により、街中の騒音がかなり抑えられている一方で、静かすぎることによる弊害が懸念されています。

 歩行者、とくにクルマが近づいてくるのを音で判断している視覚障碍者や高齢者が接近に気付かず、事故につながる危険性は有識者の間でも課題となっていました。

 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合が2008年におこなった調査では、事故に遭ったなどの情報は寄せられなかったものの、翌2009年におこなったハイブリッド車に関するアンケートでは52人の視覚障害を持つ回答者のうち75%が静粛性に対して恐怖を感じると回答していることが分かっています。

 この結果を受けて、国土交通省は2009年に「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」を開催。

 また、独立行政法人交通安全研究所がおこなった「ハイブリッド車等の静音性に関する体験会」では、モーターによる発進、10km/h以下での低速走行による接近に参加者40名(うち視覚障害者15名)のほとんどが気付かなかったという結果が出ており、さらに電気自動車に関しては全員が気付かなかったということが分かっています。

 また検討委員会の調査では、各自動車メーカーのお客様相談にはハイブリッド車の静粛性に関する意見・相談が寄せられていることも分かっています。

 実際の声としては「静かすぎて接近に気付かず驚いた」「もう少し音は出ないのか」「クラクションとは別に接近を知らせるチャイム音のようなものが欲しい」などがありました。

※ ※ ※

 国際的に見てみると、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の調査では、電動車を「静音自動車」と位置づけたうえで、通常のガソリンエンジン車より対歩行者事故率が高いとまとめられています。

 一方でオランダと日本に関しては統計上、電動車とエンジン車との間に事故発生率に関する決定的な差はないとされています。

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