見かけによらず実力はすごい? スポーツカーじゃないけど気合が入った軽自動車3選
日本独自の規格である軽自動車は庶民の足として誕生しましたが、今では装備や安全機能も充実し、日本の自動車市場でもっとも売れているクルマへと成長しました。種類もニーズに合わせるように多種多様で、なかには高性能なモデルも存在。そこで、見た目以上にハイスペックだった軽自動車を、3車種ピックアップして紹介します。
見かけによらずハイスペックだった軽自動車を振り返る
近年、日本の自動車市場でもっとも販売台数が多いのは軽自動車で、トップセラーでは月間2万台近くを販売しています。
日本独自の自動車規格として1949年に法律上で制定され、本格的に普及が始まったのは1950年代に入ってからで、現在のような軽自動車規格が明確になったのは1954年です。
その規格は排気量が360cc以下、ボディサイズは全長3000mm以下×全幅1300mm以下×全高2000mm以下と定められ、1975年まで続きました。
軽自動車が大きな転機を迎えたのは、1955年に誕生したスズキ初の4輪自動車「スズライト」といわれています。それまでの簡素なつくりだった軽自動車とは異なり、スズライトは本格的な乗用車として設計され、現在まで続く軽自動車の基礎となったモデルです。
続けて「スバル360」やホンダ「N360」などのヒット作が登場し、登録車よりも安価でさまざまな面が優遇されていたことから庶民の足となりました。
その後も軽自動車は進化を続け、規格も何度か改定しながら快適装備や安全装備が充実し、エンジンの高性能化も加速。1987年にスズキ初代「アルトワークス」が550ccながら最高出力64馬力を発揮すると、以降は64馬力が軽自動車の出力自主規制値の上限となり、今も継続されています。
この64馬力という制限のなか各メーカーはさまざまなモデルを開発して、1990年代初頭にはホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」、マツダ「AZ-1」といった本格的なスポーツカーも誕生。
現行モデルの軽スポーツカーというと、ダイハツ「コペン」シリーズと、ホンダ「S660」がありますが、S660はすでに生産終了を発表しているため、コペンのみとなってしまいそうです。
一方で、スポーツカーではないものの、性能やメカニズム的にかなり高度なモデルも存在。そこで、見た目以上にハイスペックだった軽自動車を、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「タウンボックス RX」
今、軽自動車のなかでも、もっとも人気があるのが軽ハイトワゴン/トールワゴンです。1993年にスズキ初代「ワゴンR」がトールワゴン市場を開拓した先駆者ですが、それ以前は背の高い軽ワゴンというとワンボックスバンをベースにしたモデルで、広い室内で使い勝手も良く、各メーカーから販売されていました。
このワンボックス軽ワゴンのなかでも、とくにハイスペックだったのが1999年に発売された三菱「タウンボックス」です。
ボディは商用バンの「ミニキャブバン」をベースにしたオーソドックスなスタイルのワンボックス軽ワゴンでしたが、トップグレードの「タウンボックス RX」には、最高出力64馬力を発揮する660cc直列4気筒ターボ「4A30型」エンジンを搭載。
このエンジンは1気筒あたり吸気バルブが3本、排気バルブが2本の5バルブを採用した、かなり精密なメカニズムのエンジンでした。
当時、三菱は4A30型5バルブエンジンが唯一の高性能エンジンであり、「トッポBJ」や「パジェロミニ」にも搭載していたことから、タウンボックスへの搭載もほかに選択肢がなかったというのが実情でしょう。
その後、2002年のマイナーチェンジで4バルブSOHC3気筒ターボに換装されてしまい、前期型のタウンボックス RXは今ではかなり貴重な存在です。
●ダイハツ「ムーヴカスタム RS」
1995年にダイハツは、ワゴンRに対抗するためにトールワゴンの初代「ムーヴ」を発売。軽セダンの「ミラ」をベースに開発され、ワゴンRと人気を二分するヒット作になりました。
その後、1997年のマイナーチェンジでスポーティな外観の「ムーヴカスタム」が追加され、2002年に登場した3代目では、トップグレードに「ムーヴカスタム RS/RSリミテッド」をラインナップ。
外観は4灯式ヘッドランプとエアロバンパーを装備したカスタマイズ系のモデルで、RS/RSリミテッドには専用チューニングの足まわりに、15インチアルミホイール、手元で4速ATのマニュアル操作ができるステアシフトを採用しています。
搭載されたエンジンは、2WD車のみの限定で最高出力64馬力の660cc直列4気筒DOHCターボを設定。この4気筒エンジンは2代目から継承され、初代コペンにも搭載されましたが、ムーヴカスタムではこの代で4気筒エンジンは最後となってしまいました。
ほかにもデュアルエアバッグや駆動力制御など各種安全装置、フルオートエアコン、軽自動車では初となるレーダークルーズコントロールをオプション設定するなど、3代目ムーヴカスタムはクオリティ、装備ともにワンランク上を目指していたといえるでしょう。
●スバル「プレオ RS」
現在は軽自動車の生産から撤退してしまったスバルですが、2000年前後には大いに魅力的なモデルを販売していました。
そのなかの1台が初代「プレオ」で、1998年に誕生。他社に先行されていたトールワゴンのカテゴリーに参入した同社初のモデルで、「ヴィヴィオ」の後継車でもありました。
外観の特徴は6ライトウインドウのサイドビューと、やや長めのボンネットで、商用バンも含め幅広いグレードをラインナップ。
搭載されたエンジンは、全グレードとも660cc直列4気筒の「EN07型」で、SOHC自然吸気エンジン、SOHC低過給型スーパーチャージャーエンジン、SOHC高過給型スーパーチャージャーエンジン、そしてトップグレードの「プレオ RS」には最高出力64馬力のDOHC高過給型スーパーチャージャーエンジンの4種類が設定されていました。
スバルはヴィヴィオの前身である「レックス」の頃からスーパーチャージャーの実績があり、軽自動車ながら4気筒DOHCスーパーチャージャーというハイメカの採用もヴィヴィオで実績があったので、プレオ RSへの搭載も自然な流れです。
また、プレオ RSはハンドルのスイッチでシフトアップ&ダウンが可能な、世界初の7速マニュアルモードを採用したCVTを搭載。
ブレーキもフロントにベンチレーテッド、リアにソリッドの4輪ディスクブレーキが奢られ、さらに4輪ストラットで独立懸架の足まわりも専用にチューニングされるなど、プレオ RSはトールワゴンながら走りにこだわった贅沢なモデルだったといえるでしょう。
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今回、紹介した3車種とも4気筒エンジンを搭載しています。現在はすべてのモデルが3気筒エンジンとなり、軽自動車の4気筒エンジンは消滅してしまいました。
出力的に差別化できない軽自動車では、3気筒エンジンでも十分にパワーを発揮できますが、かつて5バルブエンジンやスーパーチャージーエンジンをラインナップしていたことを振り返ると、当時は各メーカーも元気があったなと、感慨深いです。
久々に「わかってる奴」が書いた記事を読んだ気がした
プレオRSは燃費は悪かったが気持ちよく回るエンジンで加速もよくてCVTなのに疑似マニュアルのボタン変速まで付いてたからトールワゴンでも走りが良かったです
さすがは群馬県育ちの富士重工(現在スバル)製のこだわりがたっぷりの軽自動車でした
100万円ちょっとの軽自動車でこだわりすぎた為に利益が出ずスバルは軽自動車から撤退してしまったが今は200万円でもガンガン売れる時代が来たからまたスバル製の軽自動車を作って欲しいです