数字で読み解くランボルギーニの革新性とは? 時代を切り開いたエポックメイキングなクルマたち

現在のランボルギーニのデザインルーツは、「LM002」と「カウンタック」にあった!

 1970年代、ランボルギーニは軍用車を米軍とNATOに納入しようと、アメリカの軍用車メーカー「MTI(モビリティ・テクノロジー・インターナショナル)」社の基本コンセプトを用いて、多目的オフローダー「チータ」を開発。

 しかし、1977年のジュネーブモーターショーでお披露目されたチータは、米軍からの入札を得るに至らなかったばかりか、北米「FMC(フォード・マシーナリー・コーポレーション)」社の機密情報を入手して模倣したことが判明するという最悪の事態に。

 しかし、ここで諦めないのがランボルギーニである。苦肉の策として、チータを中東の富裕層向けに仕立て直し、超高級オフロード・スーパーカーへと路線変更、1981年にその最初の試作車「LM001」を登場させるのである。

「チータ」(左)とよく似ている「LM002」だが、シャシやエンジンの搭載位置など、まったくの別物である
「チータ」(左)とよく似ている「LM002」だが、シャシやエンジンの搭載位置など、まったくの別物である

●「LM002」:290リッター

 チータと同じリアにエンジンを搭載していたLM001であったが、翌1982年のプロトタイプ「LMA」では、「カウンタック」用V12エンジンをフロントに搭載。紆余曲折ありつつ、1986年に生産モデル「LM002」が、ベルギーのブリュッセル・ショーでワールドプレミアを果たす。

 LM002に搭載されたエンジンは、カウンタックLP5000用の5167ccのV型12気筒「クアトロヴァルヴォレ」ユニットを、低速でのオフロード走行に合わせたトルク重視の特性にデチューンしたもの。

 キャブレター仕様とインジェクション仕様があるが、少数生産されたインジェクション仕様は455psの最高出力を発揮。2700kgもの車両重量でありながら、最高速度は201km/hと、当時のオフロードビークルとしては格違いの速さを誇った。

 ここでオフロードビークルとしてのLM002に求められるのは、いかにして航続距離を稼ぐかである。結論としては、290リッターという巨大な燃料タンクを搭載することになる。

 さて、LM002は、販売面では成功したモデルとはいえなかったかもしれない。しかし、ゴージャスな内装を持ったLM002は、現在のラグジュアリーSUVの嚆矢といってもいいだろう。卓越性とイノベーションを信条とするランボルギーニらしい1台であったことは確かだ。ただし、時代を30年ほど先取りしていただけである。

 また、LM002という前例があっただけに、ラグジュアリーブランドが次々とSUVをリリースするムーブメントのなかで、スーパーカーメーカであるランボルギーニが、時代に遅れることなく「ウルス」を市場へと投入できたともいえる。

ボディカラーがグリーンだと、初期の「カウンタックLP400」がいかに「カラボ」のデザインに似ているのかがよく分かる
ボディカラーがグリーンだと、初期の「カウンタックLP400」がいかに「カラボ」のデザインに似ているのかがよく分かる

●「カウンタック」:50年

 50年、つまり半世紀も前にマルチェロ・ガンディー二がデザインした革新的な「カウンタック」は、垂直に開くドアを搭載した初めての市販車であった。

 このシザードア、もとはといえば、1968年のパリ・サロンで発表されたコンセプトモデルのアルファ ロメオ「カラボ」に、ガンディーニは採用した経緯があるが、いまやシザードアはランボルギーニのフラッグシップモデルの際立った特徴のひとつとなっている。

 シザードアの採用理由には、外見的な美しさだけでなく、上向きに開くことから得られる利便性もある。バック時の身を乗り出しての後方確認を容易にし、後方の視認性の問題を解決。

 さらには、長いドアを横に開けることのできない狭いスペースでの、駐車の問題を解決するためでもあったのだ。

 カウンタックの後継モデル「ディアブロ」、「ムルシエラゴ」、「アヴェンタドール」まで、シザードアはランボルギーニの12気筒モデルのDNAに欠かせない特徴となっている。

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