最後のエンジン搭載「エリーゼ」は買いか!? ロータス使いが本音でジャッジ

プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩氏によるオーナー目線のインプレッション。今回のテストカーであるロータス「エリーゼ・スポーツ220II」は、初代「エリーゼS1」からエリーゼに親しんでいる丸山氏のお眼鏡にかなうのでしょうか。

いま買わずしていつ買う? 走り好きなら絶対手に入れたい「エリーゼ」

 ガソリン車、最後の「エリーゼ」。それだけでも、乗っておく価値がある。初代「エリーゼS1」のスパルタンな軽量ボディを乗り続けている私としては、しっかりとエアコンが装着されていることだけで、その快適さに感動しながら、「エリーゼ・スポーツ220II」をドライビングした。そしてエアコンが付いていても、エリーゼ・スポーツ220IIは、ライトウェイトスポーツカーの到達点を見せてくれた。

ライトウェイトスポーツの最高峰に乗るなら、今が最後のチャンスだ
ライトウェイトスポーツの最高峰に乗るなら、今が最後のチャンスだ

●軽さは正義だ

 1800cc4気筒DOHC+スーパーチャージャーエンジンが発生するのは、220ps。決して驚くべきスペックではない。

 しかし、これが924kg(イギリス本国発表値)という1トン切りの超軽量ボディと組み合わされると、素晴らしい乗り味を醸し出す。やはり動きが軽い。こちらの操作に対して、軽快に反応する。

 スポーツカーなら当り前のことと思われるかもしれないが、この軽やかさ、今となっては非常に貴重だ。衝突安全基準がどんどん厳しくなるなかで、クルマの重量もどんどん重くなっている。

 装備も豪華になり、エンジンもパワーアップするとなると、何かと重くなる方向だ。そこへきてエリーゼ・スポーツ220IIは、圧倒的に軽いのだ。1トンを切る車両重量は、軽自動車レベルである。

 この車両の軽さを実現化できたのは、アルミフレームとFRPボディの恩恵によるところが大きい。そして車重が軽ければ、220psでも十分に楽しめる。

●本当に扱いやすいブレーキ

 もうひとつ気に入った点で挙げておきたいのは、ブレーキだ。十分に効くことはもちろんだが、タッチが非常に優しく、コントローラブルなのだ。

 エリーゼ・スポーツ220IIのディスクローターは決して大径ではない。キャリパーも「これでいいの!?」と突っ込みたくなるほどコンパクトだ。超大径ディスクローターに巨大なキャリパーが当り前となった今どきのスポーツカーからすると、貧弱にさえ見える。

 だが、私にとってはまさしく最高のブレーキシステム。バイクの全日本ロードを戦っていた頃は、どうやってブレーキまわりを軽量にするか、かなりの手間をかけたものだ。

 それぐらい、ブレーキまわりの軽量化は運動性能向上に効く。エリーゼ・スポーツ220IIのブレーキシステムに、はったり的な大げささは見られないが、車重の軽さと相まって、制動に関してはむしろ安心感が高い。

●狙い澄ましたハンドリング

 いうまでもなく、ロータス・ハンドリングは健在だ。シフト&ペダル操作の素晴らしいフィーリングを楽しみながらヒール&トゥを決め、コーナーに進入していく。

 ロールしながら、エリーゼ・スポーツ220IIは狙ったとおりのラインをトレースする。この「ライン」、文字どおりの細い線だ。狙う、というより「狙い澄ます」という感じ。ピシッと細い線の上に乗ったまま、そこから外れることなくコーナーを駆け抜けていく快感は、エリーゼの特権だ。

* * *

 ミドルクラスのスポーツカーは、恐らくどれもエリーゼをベンチマークにして開発してきただろう。しかし、ついにエリーゼに届くクルマは現れなかった。

 エリーゼがトップ・オブ・ハンドリングの座に就いたまま、ガソリン車の時代は終わろうとしている。無駄なものを一切廃し、軽くなることに惜しみなくコストを掛けてきたエリーゼ。ライトウェイトスポーツの最高峰に乗るなら、今が最後のチャンスだ。

●LOTUS ELISE SPORT 220 II
ロータス・エリーゼ・スポーツ220II
・車両価格(消費税込):682万円
・全長:3800mm
・全幅:1720mm(ミラー除く)
・全高:1130mm
・ホイールベース:2300mm
・車両重量:924kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
・排気量:1798cc
・エンジン配置:リアミッドシップ
・駆動方式:後駆動
・変速機:6速MT
・最高出力:220ps/6800rpm
・最大トルク:250Nm/4600rpm
・0-100km/h:4.6秒
・最高速度:233km/h
・燃料タンク容量:40リッター
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)ダブルウィッシュボーン式
・ブレーキ:(前)APレーシング製2ポッドアルミ合金製キャリパーΦ288mmベンチレーテッド・ディスク、(後)ブレンボ製シングルピストンキャリパーΦ288mmベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)195/50R16、(後)225/45R17
・ホイール:(前)5.5J×16、(後)7.5J×17

【画像】最後のエンジン搭載「エリーゼ」のディテールチェック(12枚)

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1件のコメント

  1. 車重が1t弱も有るのは意外でした。結構重いですね。

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