東京「日本橋」の上にかかる首都高高架がなくなる? 始まった「首都高地下化プロジェクト」とは
2021年5月に首都高の呉服橋出入口、江戸橋出入口が廃止されました。これは大規模プロジェクトといえる「首都高速道路日本橋区間地下化事業」にともなってのもので、2040年には日本橋の上にかかる首都高の高架が地下トンネル化され、広い空を見上げることが可能になるといいます。あらためてどのような計画なのかまとめてみました。
首都高でフタをされたような形の現在の日本橋に青空が戻る!?
この夏に開催された「東京2020オリンピック競技大会」に向け、国立競技場建設など、過去数年にわたり都内各地で大規模な建設プロジェクトが進められました。
そしてオリンピックを終えたいま、別の大規模プロジェクトが本格始動しています。それは「首都高速道路日本橋区間地下化事業」です。
日本橋は、江戸幕府を開いた徳川家康が「五街道(東海道・日光街道・中山道・奥州街道・甲州街道)」の起点として定めた地点です。さらに明治政府も1885年に国道の起点と決め、その役割を継承しました。
現在の橋は1911年に竣工した石造りのアーチ橋で、橋柱の「日本橋」の揮毫は江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜によるものです。
しかし東京オリンピックを翌年に控えた1963年、時間のかかる用地買収を避けるため、首都高が日本橋川上空を利用し建設されたことで、以降60年以上にわたり日本橋は首都高にフタをされる形となってしまいます。
今回の首都高速道路日本橋区間地下化事業は、日本橋川のさらに下に延長1.2kmのトンネルを掘り、老朽化が進み更新が必要な首都高の高架部分を移設し、失われていたかつての景観を取り戻すというものです。また周辺の街路整備や再開発など、新たな街作りも同時におこなわれます。
さて、具体的な工事はどのように進められるのでしょうか。
まず最初におこなわれるのが、工事の支障となる地下埋設物および既存の橋脚の一部の撤去です。すでに2021年5月に、橋脚撤去にともない、呉服橋出入口、江戸橋出入口が廃止されています。
続いてトンネルの工事です。トンネルは地上との接続部が開削工法(地上から垂直に地面を掘る工法)で、中央部分はシールド工法(大型の穴掘り機で横に掘り進む工法)を採用します。また既存の橋脚の基礎がトンネルと重なる部分では、別の位置に橋脚を新たに作り、既存の橋脚は橋桁を受け渡した後に撤去し、工事を進めます。
一連のトンネル工事が終了したら、道路を現在の高架からトンネルへ切り替え、その後、高架を撤去して事業は完了となります。
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