東京「日本橋」の上にかかる首都高高架がなくなる? 始まった「首都高地下化プロジェクト」とは
完成すると道幅も広くなり、さらにクルマの通行方法が変わる予定
では、完成後の道路の状況はどうなるのでしょうか。
現在、この区間は内回り、外回りとも道路幅が7.5mで、それぞれ幅員3.25mの2車線が引かれ、路肩の幅は内側、外側とも0.5mです。
新たに開通するトンネルでは道路幅が1m広い8.5mで、広い路肩を確保することが容易になるため、これまでよりもゆとりをもった走行空間が実現するはずです。
そしてさらに大きく変化するのが、完成後のクルマの通行方法です。
これまでこの区間は都心環状線の一部を形成し、東側の江戸橋JCTで銀座方向に進む本線と6号向島線とが分岐・接続していました。しかし工事完了後、新たな地下ルートは直接6号向島線と連絡することになり、環状線の一部としての役割を終えることとなります。
そして環状方向の交通については、工事区間の西側の神田橋JCTで分岐・接続する八重洲線が担います。
現在も八重洲線西銀座JCTと都心環状線汐留JCTを結ぶKK線(東京高速道路/無料)を使うルートで環状走行ができますが、KK線は構造上大型車の通行に適さないこと、また工事などで対応するには高架下の店舗の長期間の休業が避けられないことなどから、新たな環状ルートとして八重洲線西銀座JCT付近と都心環状線京橋JCT付近を地下のトンネルで接続する「新京橋連結路(地下)」を新設する方向で検討が進められています。
さらにこの新たな連絡路が完成すれば、KK線の役割が大きく変化することから、東京都ではKK線を歩行者中心の公共的空間へと転換し、整備することを目指しています。
では、工事が完成し、日本橋から広い空を見上げることができるのはいつになるのでしょうか。
首都高速道路が2020年10月に発表したスケジュールでは、地下ルートの完成予定を2035年、完成予定(高架橋撤去)を2040年としています。
すでに上下水道やケーブル類の収容スペース、ビルの地下や基礎部分などさまざまな利用がなされている都心部の地下を掘ることから、今後も多くの調整が必要であるため、工期の長期化は避けられないところなのでしょう。
そして完成時には、首都高を走るクルマの顔ぶれも、現在とは大きく様変わりしているはずです。これから15年、20年というとずいぶん先のように思えますが、その日を楽しみに待ちたいですね。
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