「サンダル履いて運転はダメ?」 ハイヒールや下駄は? 運転に適した「靴」とは
夏場の海帰りに運転する際、ビーチサンダルのまま運転している人を見かけることがあります。しかし、サンダルやハイヒールなどで運転をすると違反となる可能性があるようです。
サンダルやハイヒールはアウト? 運転時の靴には決まりがある?
「オシャレは足元から」という言葉もある通り、男性でも女性でもどんな靴を履くかは、ファッションにおいてはとても重要です。
一方で、運転をする際にサンダルやハイヒールではいけないということは、自動車教習所でも習うことのひとつです。
では、実際にそのような靴で運転することは違反にあたるのでしょうか。
実は、国が定める道路交通法には、運転時の「靴」について具体的に記載はなく、とくに明確化されていません。
とはいえ、道路交通法に記載がないことが、運転時にどのような靴を履いても良いことを意味しているわけではないようです。
道路交通法とは別に、都道府県ごとに独自の交通規定を設けた「道路交通法施行細則」というものが存在します。
実際の取締りには、この道路交通法施行細則も参照しながらおこなわれます。
そして、この道路交通法施行細則においては、都道府県によって具体的に靴について定めている事項も見られます。
例えば、北海道の道路交通法施行細則では、第12条において「げた、スリッパ等運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物をはいて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと」と定められています。
また、東京都では第8条に「木製サンダル、げた等」、大阪府では第13条に「げた又は運転を誤るおそれのあるスリッパ等」など、それぞれの道路交通法施行細則において、運転時に履いてはいけない靴について具体的な記載があります。
同様の記載が新潟県や愛媛県、沖縄県などの道路交通法施行細則にも見られるため、幅広い地域において、運転に適した靴を履くことが求められているようです。
また、前述でもわかるように、履いてはいけないものとして「げた」や「スリッパ」といった記載をしている都道府県が多く見られます。
げたとスリッパは、基本的にかかとが固定されていないという共通点があるため、運転中に履いても良い靴としては、足全体と靴の密着率が高く、しっかりとペダルを踏み込み、確実に操作できるものが求められているのかもしれません。
では、道路交通法施行細則に明記されているような「げた」や「スリッパ」ではなければ、運転時に着用していても違反にならないのでしょうか。
道路交通法では、前述したように運転時の靴について記載されている項目はありませんが、例えばハイヒールなどの靴で運転することは、第70条の「安全運転の義務」の違反となる可能性が高いようです。
安全運転の義務では、ハンドルやブレーキそのほかの装置を確実に操作し、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転することが求められています。
しかし、サンダルやペダルに力をかけにくいハイヒールなどは、ブレーキやアクセルの確実な操作ができないものとみなされ、安全運転の義務違反にあたる可能性があるといえるでしょう。
首都圏の警察関係者は、そうした靴を履いての運転について以下のように話します。
「サンダルやハイヒールなどは、安全な運転ができる靴であるという証明が難しいため、各都道府県で定められている道路交通法施行細則に記載がなくても、安全運転の義務の違反になる可能性があります。
サンダルやヒールのある靴には、さまざまな種類があるため、一概にすべてが違反にあたるとはいえませんが、一部のものは事故を起こす可能性が高いと考えられます」
もし、安全運転義務違反に該当した場合には、反則金として普通車は6000円、大型車は7000円、違反点数は2点です。
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運転するときに、足が固定されていない靴では、ペダル操作のミスをおこす可能性が高く非常に危険です。
サンダルやハイヒールでおしゃれを楽しみたい場合には、クルマのなかに運転用のスニーカーを常備しておくなど、あらかじめ運転するための準備をしておくのが良いでしょう。