カルトカー「Z1」はBMWの実験室だった! 中古車の見極めポイントを伝授

まだまだ価格は上がる? Z1を買うなら注目すべきポイントとは?

 シルバーストーン・オークション「THE MAY SALE 2021」に出品されたBMW Z1は、生産最終期にあたる1990年に生産された1台。左ハンドルながらイギリス仕様車である。

 現在も継承されている「G264 TTO」の登録ナンバーとともに、1990年3月15日に初の英国内登録を受けている。

愛称「Drop-Door」の由来となっている昇降式ドアを採用したBMW「Z1」(C)Silverstone Auctions Limited 2021
愛称「Drop-Door」の由来となっている昇降式ドアを採用したBMW「Z1」(C)Silverstone Auctions Limited 2021

●「Z1」のコンディションは?

 約8000台が生産されたZ1の多くはドイツ国内にデリバリーされ、それらの車両がイギリス国内のマーケットに並行輸入車として数多く流通しているそうだが、今回の出品車両は、BMW UKによって英国に正規デリバリーされた左ハンドル仕様車とのことである。

 ボディカラーは、このモデルではもっとも多く作られた「トップレッド(Top Red)」。インテリアはブラックとアンスラサイト(灰色)のコンビレザーで仕立てられている。

 今回のオークション出品者である現在のオーナーは、約27年にもわたって25台のコレクションとともに、このZ1を所蔵したとのこと。その前には2人のオーナーのもとを渡り歩いたことから、現在に至るまで3オーナー車であることが判明している。

 現状での走行距離は、オドメーターが示すとおり5万2258マイル(約8万4100km)という、ヨーロッパの感覚では低走行の範囲に収まるもの。また、現オーナーのもとでは整備と車検は継続されつつも、ほとんど使用されてなかったという。

 英国内での車検は2022年1月10日まで有効で、オリジナルのサービスマニュアル、これまでのサービス履歴を記したドキュメントなども、販売時には添付されるとのことであった。

 シルバーストーン・オークション社は今回の公式WEBカタログにて、BMW Z1のマーケット相場が高騰傾向にあることアピールしていたが、5月22日に行われた競売では2万8688英ポンド、日本円に換算すれば約437万円という価格で落札されることになった。

 この落札価格は、現在の市場における実勢価格と見比べれば、かなり安価とも思われる。たとえば、現時点において日本国内の某中古車専門サイトで発見できた、ただ1台のZ1には850万円のプライスタグが掲げられている。また海外のオークション結果やクラシックカー専門サイトでチェックしても、おおむね700万から1000万円あたりで動いていることがわかる。

 それらの市況から判断すれば、今回の出品車両は間違いなくリーズナブルなのだが、それには車両のコンディションが大きく影響している可能性があるかと思われる。

●「Z1」を選ぶポイントは

 BMW Z1は、近年でいえば「i8」のごとく、コンセプトカーをそのままシリーズ生産・市販してしまったようなクルマ。それゆえ、特にボディ周辺/インテリアの耐久性への配慮は、30年以上も昔のモデルであることを勘案しても、いささか不十分だったといわれているようだ。

 カタログ写真を一見する限りでは、つややかなコンディションにも見えるものの、Z1に詳しい識者によると、樹脂製の外皮は特殊な塗料が劣化しやすいそうで、その保全がなされている、あるいはレストアされているか否かが評価を左右するという。

 また、ハンドメイドだったというインテリアも、同時代の量産型BMWより明らかにナーバスで、経年や使用状況による劣化の度合いには大きな個体差があるとのことである。

 機関部についてはE30系3シリーズ譲りで、信頼性やサービス性には一定の安心感があるそうなので、さらなる価格高騰となる前にZ1を入手したいという人は、主に内外装のコンディションに注目すべきとお伝えしておくことにしよう。

【画像】1980年代最後のカルトカーBMW「Z1」とは(25枚)

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