日欧のコラボが流行になった? 有名ブランドとのタッグが成功した車3選
現在、新型車の開発は複数の会社が担当することも珍しくありません。一方で、1980年代には自社とは異なるブランドとのコラボレーションが流行りました。そこで、有名ブランドと協力して成功したクルマを3車種ピックアップして紹介します。
他メーカーや有名ブランドとのコラボで人気となったクルマを振り返る
新型車を開発するには自動車メーカー1社では成り立たず、部品メーカーなど複数の会社と共同でおこなうのが一般的です。
さらに、近年ではエンジンやトランスミッションといった主要なパートを、まるまるエンジニアリング会社へ開発を委託するケースも珍しくありません。
開発工程の合理化を図るうえでは、得意な会社に開発を委託するのは理にかなっているといえるでしょう。
一方、昭和の時代には、自社では弱いブランド力を補うために、海外の有名なブランドとコラボレーションするのが流行し、実際にそうしたクルマが人気となって販売台数に貢献した例があります。
そこで、有名ブランドと協力して成功したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュ GSRターボ X1X」
三菱は1978年に同社初のFFコンパクトカー、初代「ミラージュ」を発売。FF化はとくに小型車では有効で、広い室内空間の確保や、部品点数の削減により軽量化とコストダウンができるなど、多くのメリットがありました。
ミラージュはライバル車よりも後発のモデルでしたが、スタイリッシュなボディに、同クラスではいち早くターボエンジンを搭載したことから、高い人気を誇りました。
その後、1983年に2代目が登場。外観は当時の流行だった直線基調のデザインへと変貌し、トップグレードの「GSRターボ」には、120馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒SOHCターボエンジンが搭載され、よりスポーティなイメージを高めました。
さらに1986年には、ポルシェ初代「911」をデザインに携わり、ポルシェデザイン社を創業したフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ氏によるデザインのパーツを装備した「GSRターボ X1X」をラインナップ。
X1Xシリーズは専用にデザインされたステアリングホイールをアルミホイールが装着され、ほかにもピレリ製タイヤやスポーツシート、ブラックの内装色とするなど、スポーティな装いながらシックな印象で仕立てられていました。
●ダイハツ「シャレード デ・トマソターボ」
1967年にダイハツはトヨタと提携関係を結び、トヨタからOEM車が提供を受けるようになりました。そのなかの1台が「パブリカ」のOEM車「コンソルテ」でしたが、後継車として1977年に、自社で開発した新世代のFFコンパクトカー「シャレード」を発売。
1980年代になるとターボエンジンの普及によって国産車の高性能化が加速したことを受け、ダイハツも1981年に開催された東京モーターショーに、イタリアのレーシングカー・コンストラクターで自動車メーカーでもあったデ・トマソがチューニングした「シャレード デ・トマソターボ」を参考出品しました。
この初代シャレードベースのデ・トマソターボは市販化されませんでしたが、1984年に2代目をベースとしたシャレード デ・トマソターボが市販化されました。
デ・トマソが監修した専用デザインのエアロパーツが装着され、スポイラー形状の前後バンパー、サイドステップ、リアゲートの外周を一周するように装着されたリアスポイラーで構成され、ホットな外観へと変貌を遂げています。
さらにカンパニョーロ製マグネシウムホイールにピレリ製タイヤ、MOMO製ステアリングといった、人気のイタリアブランドのパーツが純正装着され、若い世代のクルマ好きを引きつけました。
エンジンは最高出力80馬力(グロス)を発揮する1リッター直列3気筒ターボで、絶対的なパワーはそれほど高くはありませんでしたが、わずか690kgの軽量なボディと相まって、クラスを超えた優れた走りを披露。
シャレード デ・トマソターボは見事にヒット作となり、3代目では設定されませんでしたが、4代目では1.6リッター自然吸気エンジンのシャレード デ・トマソが復活しました。
●いすゞ「ジェミニ イルムシャー」
1974年にいすゞ「ベレット」の後継車としてデビューした「ジェミニ」は、1.6リッターエンジンを搭載するFR車として開発された、クーペ/セダンです。
そして、1985年に2代目が登場するとライバル車に追従するかたちでFF化され、1.5リッターエンジン搭載車を主力商品とした、4ドアセダンと3ドアハッチバックのラインナップとなります。
そして、すでに高性能なFF車が人気となっている背景から、1986年に最高出力120馬力を誇る1.5リッター直列4気筒SOHCターボエンジンを搭載した「ジェミニ イルムシャー」が発売されました。
イルムシャーはドイツのチューニングメーカーで、オペルのクルマのチューニングがメインだったことから、当時オペルと同じくGM傘下だったいすゞとの協業が実現したかたちです。
外観はイルムシャーがデザインを監修した専用の前後バンパーやフラットなホイールキャップなどを装着。足まわりのセッティングもイルムシャーが担当し、優れたコーナリング性能を実現。
内装では、当時、走り好きには垂涎の的だったレカロ社製シートを標準装備するなどバリューも高く、高い人気を誇りました。
ジェミニ イルムシャーは「ピアッツァ」「アスカ」に続くコラボ第3弾で、どのモデルもヒットを記録したことから、さらに英国の名門メーカー、ロータスが監修した「ハンドリング・バイ・ロータス」シリーズの展開へと至りました。
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こうしたコラボ企画はほかにもあり、かつて三菱は「デボネア」と「ギャラン」にAMG仕様を設定し、スバルは「レガシィ」でポルシェデザインとタッグを組んだ「ブリッツェン」シリーズを展開しています。
近年は日産とイタルデザインによる「Nissan GT-R50 by Italdesign」が記憶に新しいところですが、最近はあまり見られなくなってしまいました。
それだけ各メーカーとも、自社ブランドを重要視するようになったのかもしれません。
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