ボルボ人気が止まらない! なお右肩上がりの成長を続けるその理由とは

2030年までにすべてのボルボ車をEVにする計画

 もっとも、コストを低減すれば会社の利益率は上がるかもしれませんが、必ずしも販売台数が増えるとは限りません。では、どうやって新世代ボルボはそのセールスを伸ばしてきたのでしょうか。

 ひと目でわかるのは、その内外装のデザインです。外観はシンプルですが、非常にバランスのいい美しいデザインで、そのなかに北欧らしさやボルボらしさが巧みに表現されているように思います。

ボルボ「XC60」の室内
ボルボ「XC60」の室内

 このデザインはトーマス・インゲンラート氏の手になるもの。インゲンラート氏はボルボ全体のデザインを統括しつつ、現在はEVブランドであるボルボの子会社、ポールスターのCEOを務めています。

 インテリアデザインにもユニークで北欧らしさ、ボルボらしさが感じられます。

 しかも、これはエクステリアデザインにも共通していえることですが、ただデザインがいいだけでなく、質感も高く、デザインや素材に費やされているコストは決して低くないと推測されます。

 おそらく、生産の効率化で捻出したコストを、こうしたデザイン面に投じているのでしょう。また、インテリアではブロンドと呼ばれるホワイト系のカラーが選べるのもボルボの特徴です。最近のドイツ車は黒系のインテリアしか用意されていないことが多く、もっと明るい色調を期待する顧客がボルボに流れていると考えられます。

 内外装のデザインとともに、もうひとつボルボが精力的に取り組んでいるのが安全性です。

 ボルボが安全性の向上に熱心なことは古くから知られていますが、近年はとくにエレクトロニクスを用いた先進運転支援システムを積極的に装備しており、この分野ではメルセデス・ベンツなどと並んで世界のトップクラスに位置しています。

1959年に初めて搭載された3点式シートベルト。ボルボはこの技術の特許を無償公開した。写真はボルボのエンジニア、ニルス・ボーリン氏
1959年に初めて搭載された3点式シートベルト。ボルボはこの技術の特許を無償公開した。写真はボルボのエンジニア、ニルス・ボーリン氏

 もっとも、いくら魅力的な製品を投入しても、デビューから1年、2年が過ぎるとセールスは下降傾向を示すのが自動車業界の常識です。ちなみに、主力モデルのなかで最新作といえるのは前述のXC40ですが、そのデビューは2017年で、もう4年も経っています。にもかかわらず、ボルボ車が全般的に人気なのは、なぜでしょうか?

 環境意識の高いボルボは電動化にも熱心で、すでに全モデルがPHVもしくは48Vマイルドハイブリッドのどちらかを搭載しています。

 こうした取り組みを含めて、「人々に寄り添う」というボルボのフィロソフィーが現代という時代にマッチしているのは間違いないと思います。つまり、近年のボルボの成功は、製品自体のよさもさることながら、その企業姿勢が社会的に受け入れられている側面が強いと思われるのです。

 いっぽうでボルボはさらなる変革に挑もうとしています。

 2030年までにすべてのモデルをEV(電気自動車)に切り替えるほか、自動運転技術の開発を急ぎ、安全性のさらなる向上を目指すというのです。

 こうした新製品は数年以内に発売されるはずですが、その成否が、次の10年間のボルボの成長を決定づけることになるでしょう。

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