無意識にやってない? クルマを傷める原因となるNG行為5選
何気なくやっている操作が、クルマにダメージを与えてしまっていることがあります。今回は「知らずにやっているNG行為」を5つピックアップ。現役整備士にNG行為のダメなところを教えてもらいました。
何気ない操作がクルマを傷める原因になることも!?
クルマの扱いに慣れていない初心者だけでなく、運転に慣れたベテランドライバーでも、知らず知らずのうちにクルマにダメージを与える行為をしていることがあります。
とくに最近のクルマは耐久性や信頼性が高いのでつい忘れがちですが、無意識におこなっている操作がのちの故障の原因になることも。
そこで今回は、クルマにやってはいけない5つのNG行為をピックアップ。30年近くの経験を持つ現役整備士のT氏に説明してもらいました。
●エンジン:始動直後の急発進・急加速
エンジン始動直後の急発進や急加速はNGとされています。とくに早朝や深夜など、周囲に迷惑をかけないつもりで、エンジンをかけてすぐにアクセルを踏んで出発するという人もいますが、何がダメなのでしょうか。
「最近では停車したままの暖気運転が環境に良くないといわれていますが、だからといって急発進や急加速はエンジンやミッション内のオイル潤滑が十分でなく油膜不良になる可能性もあります。
ゆっくり走り出し、エンジン内部やミッション内部のオイルが適正に潤滑するような暖機運転を心がけていただけると、トラブルの発生を抑えることができます」(整備士 T氏)
その場にとどまっての暖機運転があまり良くないといわれるのは、あくまで近年の環境や燃費に対しての配慮であって、金属同士のパーツが複雑に組み合わさったエンジンなどは、ある程度まで油温が上がることで潤滑油としての役目を十分に果たすとされています。
雪の多い地域などでは一晩で各機関が凍りつくこともあり。これをゆっくりと温めて動きを滑らかにしないで負荷を掛ければ、ピストンやタイミングベルト、ATのトルクコンバーターやベルト類にも悪影響が出てしまうことがあります。
理想としては、エンジン始動後5分程度はゆっくりとした加速と操作を心がけるのが良いそうです。
●トランスミッション:クルマが停止する前にATレバーを操作
駐車場での出し入れや切り返しのときについやってしまいそうなのが、まだ完全に停止する前に「Dレンジ」から「Rレンジ」などへのシフトチェンジです。
「クルマが完全停止する前にN(ニュートラル)にギアを入れるのは、トランスミッションを傷めることになります。N→DやN→Rへのシフトチェンジは、その都度ミッション内の油圧クラッチを切る行為であり、昔はよく壊れる原因にもなりました。
現在ではかなり対策が施されており、そう簡単には壊れませんが、古い輸入車のATやセミAT(DCT)などは注意が必要です」(整備士 T氏)
最近のクルマは壊れないとはいっても無駄な負荷をかけていることには変わりなく、速度が上がるほどにシフトチェンジの負荷も大きくなります。
ほんの数秒、しっかり停止するだけでトランスミッションの故障リスクを低減することができます。
●サスペンション:車輪止めにタイヤを強く当てて駐車
駐車場に設置されている「車輪止め」は、1台のスペース内でそれ以上進まないように設けられたものです。
とくにやってしまいがちなのが、バック駐車で「車輪止め」に強く当てた上にその状態でPレンジに入れて停めてしまうこと。この行為は、じつはサスペンションを傷める原因にもなるといいます。
「バックカメラ装着車が増えましたが車輪止めは見えないため、けっこう強めに当てる人が多いです。確かにサスペンションはそんな衝撃をいなすために装備されていますが、あの衝撃はけっこう大きいのです。
似たような状況として縁石に乗り上げるなど段差のある状態で駐車する行為もあります。1度や2度の衝撃で壊れるようなものではありませんが、その状態をキープするということは、強く当てた車輪のサスペンションに余分な荷重をかけ続けることになります」(整備士 T氏)
それ以上に問題なのが、車輪止めにぶつけた衝撃によってホイールアライメントに狂いが生じる可能性があることです。
微々たるものと思いがちですが、これによって真っ直ぐ走らなくなったり、タイヤが偏摩耗してしまうこともあるといいます。
「とくに最近は扁平率の低い(薄い)タイヤを装着するクルマが増えており、サスペンション以前にホイールを傷めるケースが増えています。
車輪止めに当たる速度はもちろん、当てたあとに少し前に出てから駐車するようにするだけでもかなり劣化具合に差が出てきます」(整備士 T氏)
「クルマを痛める」は誤り。
「クルマを傷める」が正しい。
校正をしっかり。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。