なぜトヨタ「アルヴェル」に10倍の格差が生じる? 国産車の6割が不人気車となる3つの理由

昨今の国産車は、たくさん販売される人気車種がある一方、不人気とされる車種が増えており、販売の格差が広がっています。なぜこのような格差が生じるのでしょうか。

人気車と不人気車の違いは? 不人気車が増加した理由に迫る

 国産車の車種数は150車種前後ですが、1か月に平均5000台以上が売れるのは、この内の25車種程度です。約90車種は1か月平均の販売台数が1000台以下であり、最近クルマの販売格差が拡大しています。

 販売台数の内訳を見ると、1か月に5000台以上売られる人気車が約25車種、1000台から5000台の中堅レベルが約35車種、残りの90車種が1000台以下の不人気車です。

 国産車の6割は月間1000台以下しか販売されていないという状況ですが、一体なぜ不人気車が増えたのでしょうか。

10倍もの販売格差があるアルファードとヴェルファイア
10倍もの販売格差があるアルファードとヴェルファイア

 不人気車が増えた背景にはおもにみっつの理由があります。まずひとつ目は、昨今の日本車メーカーの市場が、海外中心になったことです。

 スズキとダイハツ以外の日本車メーカーは、いまでは生産台数の80%以上を海外で販売しています。そうなると海外で大量に売られていても日本国内では低調な車種も生じます。

 たとえばレクサスでもっとも多く販売されるのはコンパクトSUVの「UX」ですが、1か月平均は800台以下。レクサスは海外中心の高級車ブランドなので、海外で多く売れれば成り立つのです。

 またふたつ目の理由として、クルマが実用的な生活のツールになったことも挙げられます。趣味の対象だった時代には、個性的なクーペも堅調に売れましたが、いまは日常的なツールなので、使い勝手の優れた背の高い軽自動車やコンパクトカーが売れ筋となっています。

 その結果、国内における新車販売は軽自動車が40%近くを占めて、コンパクトカーも約25%に達します。合計すると65%が小さなクルマで、ミドルサイズやラージサイズは35%程度です。

 そしてみっつ目は、各メーカーの販売系列が実質的に撤廃されたことです。すべての販売店が全車を売る体制になったことも、販売格差を加速させました。

 系列があって専売車種も用意されると、販売店はそれを大切に売ります。しかし全店が全車を扱うようになると状況も変わります。すべての店舗が販売しやすい人気車だけを売るため、特定の車種が売れ行きを伸ばし、それ以外は落ち込んで販売格差が拡大するのです。

 もっとも分かりやすいメーカーはホンダでしょう。最近は国内で新車として売られるホンダ車のうち、35%前後を軽自動車の「N-BOX」が占めます。

 そしてN-BOXを含めた軽自動車全体がホンダ全車の55%前後に達し、そこにコンパクトカーの「フィット」と「フリード」を加えると、国内で売られるホンダ車の80%近くを占めるのです。

 ホンダはもともと「クリオ/ベルノ/プリモ」の3系列を用意して、それぞれ専売車種も設定していましたが、2000年代中盤に全店が全車を扱うホンダカーズの体制に変更。その結果、売れ筋車種のコンパクト化と低価格化が進み、軽自動車を中心とした販売構成になりました。

 ちなみにホンダは先ごろ、「オデッセイ」「レジェンド」「クラリティ」を廃止することを決めました。直接の原因はこれらの車種を生産する狭山工場の閉鎖ですが、販売格差が生じていなければ「ステップワゴン」のように別の工場に移管して生産を続けるでしょう。

 全店が全車を売る体制になって販売格差が拡大すると、車種の廃止も発生しやすくなるのです。

 またホンダの場合、好調に売れる軽自動車のなかでも販売格差が進んでいます。2021年にN-BOXは1か月平均で1万8000台以上を販売していますが、「N-WGN」は約4800台、「N-ONE」は2400台前後です。

 N-BOXが圧倒的に売れて、ほかの2車種は比較的設計が新しいのに、売れ行きは下回っています。

【画像】アルファードとヴェルファイアは10倍の差!? 明暗分かれたクルマたち(45枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

アル へ返信する コメントをキャンセル

7件のコメント

  1. 配信停止をお願い申し上げます。

  2. ヴェルファイアはさっさとタンクみたいに
    アルファード内のグレードに統合した方がいい

    あとレクサスLMを日本導入したほうがいい

  3. ネットで情報が拡散する今の社会において、
    注目されるか否かで人気不人気の格差が広がってしまうのも要因でしょう。
    車を買うのにそれほどこだわりが無いのならばふつうは無難に、
    予算内において巷で目立つ人気車で気に入ったのを選ぶわけで、
    売れてない車など忘れ去られた存在で、
    思い浮かべ探そうともしないのだから、
    それに販売店側もそれをわざわざ不人気車をお勧めしないし
    より一層販売格差が出るというものでしょう。

    ただし、
    あえていうならば売れていない車がダメな車とは限らない。
    むしろ定番の人気車より個性的で優れたものだって結構ある。
    数百万も出してあえて買うものなんだから
    店頭の看板商品を無難に選ぶのではなく
    ダイヤの原石を掘り当てて見つけ出す位のきもちで
    自分に合った車を探す手間をかけ選んだ方がより愛着も沸くし幸福になれると思うよ。

  4. 元々からエスクァイアは売れて無いというか立ち位置が微妙なんだよね、
    トヨペット店の乗り換え需要において
    アルファードでは大きすぎるという顧客向けの補完で設定されたんで、
    ノア/ヴォクシーより顧客年齢高めがターゲットユーザーと見込み
    5ナンバー幅で上級仕立てでエアロなしという縛りがある。
    そこらへん緩和してもっとミニアルファード調に派手にした改良すれば大化けする可能性もあるだけに
    このまま消滅させるのももったいないと思う。

  5. 今回の記事では自動車業界の問題点の指摘しか有りませんでしたが、売れる車に偏りが有るのは、日本の文化から考えた方が良いと思います。

    車を買うのは、お父さんですが、車を選ぶのは家族の意見が大いに反映されます。
    特にお母さんの意見は絶大だと思います。

    今のお母さん世代といえば、ルーズソックスやアムラーなど周りと同じファッションによって安心を得てきた世代です。
    これは、制服で子供の個性を消し去る日本の文化によるもので、致し方無い事ではありますが、車選びにも周りと同じ車を選ぶ事で安心を得ていると思います。
    数年前、某マンションの駐車場がセレナだらけで恐怖すら感じました。
    バブル期には、六本木のカローラと呼ばれたBMWでしたが、これもまた然りです。

    今の若い世代は、徹底した合理主義なので、今後は無駄の無い車に人気が出るかも知れません。
    軽自動車が売れてるのも頷けるのではないでしょうか?
    NV200やプロボックスなどの4ナンバー車を自家用車として使用するのが流行るかも知れませんね。

  6. トヨタ車はハードは壊れにくくて良いものの、デザインが派手すぎてアジア臭を感じてしまいます。
    もっと機能美を意識したデザインにしてほしいです。トヨタ車の中では未だにアルテッツァとエスティマのデザインがずば抜けて秀逸で、それ以外は残念に感じてしまいます。

  7. ヴェルのELZ乗ってるけど、被らんから俺は気に入ってる(笑)アルはめちゃくちゃ見るなぁ。観光地だからレンタカーもアル多いね。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー