ブガッティ「ボライド」より俊足! 2億円オーバーの「ジンガー21C」はお買い得か!?
前後ふたり乗りのハイパーカー「ジンガー21C」の仕様が明らかになった。1350psのモンスターマシンの驚異のパフォーマンスを解説する。
バイクのようであり、F1のようでもあるドライビング体験
カリフォルニアを拠点にハイパーカーの開発と生産をおこなうジンガー社は、自社初のモデルとなる「ジンガー21C」の最終的な仕様を明らかにした。
発表では、ジンガー21Cは80台の限定車として生産され、価格は205万ドル(邦貨換算約2億2700万円)となっている。
ジンガーは2021年のジュネーブ・モーターショーで、21Cのワールドプレミアを計画していたのだが、残念ながら新型コロナウイルスの影響でジュネーブ・モーターショーが中止となり、2台の21Cを同時に披露するというプランは夢と化してしまった。仮にショーが予定通りに開催されれば、アメリカから大西洋を越えて運ばれたハイパーカーには、多くの視線が集中したことは間違いないだろう。
21Cは、シンガーの掲げる「エクスクルーシブ・パフォーマンス・ビークル・シリーズ」の第1弾モデルだ。となれば当然これからシンガーによって生み出されるモデルにも大きな興味が集まるところだ。
最新のAI技術を用いて重量や性能を最適化、最後のプロセスでは手作業による仕上げの行程が待つという仕組みは、ハイパーカーもコンパクトカーも、まったく同じであるという。
●縦に2名の乗車スタイル
21Cの詳細を見ていこう。まず圧倒されるのは、ダイナミックなフェンダーラインが特徴的なエクステリアデザインだ。キャビンは中央部で強く絞り込まれているが、これは21Cがダンデム式の2シーターマシンとして設計されているから。
つまりこの21Cに乗り込むには、ワイドなサイドステップを乗り越え(あるいはここで1回立ち上がり)、キャビンへと身体を滑り込ませる必要がある。
21Cのボディには、低ドラッグで最高速を狙った「Vmaxコンフィギュレーション」と、低速域から高速域までのバランスを考えた「ハイダウンフォース」のふたつの仕様が用意されるという。これもまたAIによる設計の賜物で、すでにハイパーカーの設計にはAIが必要不可欠になっていることを改めて思い知らされる。
リアミッドシップに搭載されるパワーソースは、2.88リッターV型8気筒ターボエンジンに2基のエレクトリック・モーターを組み合わせたものとなる。ほとんどの自動車メーカーが内燃機関から離れようとしているタイミングで登場するジンガーだが、ハイブリッドのシステムを持つため、厳しいカリフォルニアの排出ガス規制にも合格することができるだろう。
ジンガー社から発表されたこのユニットの最高出力は、1250ps。さらにパワーアップオプションを選択すると、その数字は1350psにまで向上させることができる。
●驚異の0-100km/h加速2秒切り
参考までにカーボンなどの軽量素材を駆使したボディなどの恩恵で車重は1240kg。つまり、ジンガーC21は、パワー ウエイト レシオで1:1以下のパフォーマンスを得ることに成功しているのだ。
ちなみに2基のエレクトロニック・モーターは、前後の左右輪を駆動し、減速時などにはエネルギー回生をおこなうほか、エンジンに取り付けられたギアで充電する、いわゆるMGU(モーター・ジェネレーター・ユニット)からの充電も可能になっている。ギアボックスは7速シーケンシャルで、エンジンのレッドラインは1万1000rpmと高回転型だ。
気になる最高速は、Vmaxコンフィギュレーション仕様で452km/h。0-100km/h加速1.9秒、0-300km/h加速で8.5秒と、魅力的な数字がスペックシートに並んでいる。
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ジンガー21の注目すべきポイントは、車体センターのドライバーズシートにもあるが、なんといっても0-100km/h加速だろう。
1.9秒というジンガー21Cの0-100km/h加速は、ブガッティ「シロン・スーパースポーツ」の2.4秒どころか、ブガッティのサーキットに特化したハイパースポーツである「ボライド」の2.17秒をも上回るタイムなのだ。
シロン・スーパースポーツがおよそ4億9000万円、価格未発表とはいえ、ボライドに至ってはさらに高価であると思われる。0-100km/h加速だけで比べた場合、2億2700万円のジンガー21Cはバリューあるプライスともいえそうだ。
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