まさにFRスポーツカーならではのフォルム! ロングノーズ・ショートデッキの車5選
スポーツカーといえば見るからに速そうな外観ですが、なかでもFR駆動のスポーツカーで多く見られるのが「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれるフォルムです。このスタイルは古くから確立されており、最新のモデルでも採用しています。そこで、古今東西のロングノーズ・ショートデッキのクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
ロングノーズ・ショートデッキを採用したFRスポーツカーを振り返る
クルマの外観を見ると、そのクルマのキャラクターがおおよそ想像できます。とくにスポーツカーやスーパーカーといった走行性能を重視したモデルはわかりやすく、見るからにスピーディな印象です。
そんなスポーツカーのなかでもFR駆動のモデルで多く採用されているのが「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれるフォルムです。
文字どおり長いフロントノーズでトランクまわりのリアデッキが短く、第二次世界大戦以前のスポーツカーやレーシングカーにおいて、すでに確立されていました。
FR車でも直列6気筒エンジンなど長いエンジンを搭載するには必然的にボンネットやノーズ部分を長くする必要があり、前後重量配分を最良にするにはキャビンを後退させ、リアタイヤから後ろを短くするのが理にかなっているため、ロングノーズ・ショートデッキが採用されたのです。
さらに、より重量配分を均一にするため、リアアクスル付近にドライバーが座るようなモデルもあります。
そこで、古今東西のロングノーズ・ショートデッキのスポーツカーを、5車種ピックアップして紹介します。
●ジャガー「Eタイプ」
ロングノーズ・ショートデッキのFRスポーツカーをセレクトするにあたって、絶対に外せない1台がジャガー「Eタイプ」です。
イギリスの高級車メーカーであるジャガーは、第二次世界大戦以前から数々のスポーツカーを製造するメーカーであり、1961年のジュネーブモーターショーにおいて、後に「世界一美しいクルマ」と評されるEタイプがデビュー。
当時、もっとも先進的だったジェット戦闘機をモチーフとしたボディラインと、イギリス製スポーツカーの見本のようなロングノーズ・ショートデッキが特徴的なモデルです。
ボディは2種類あり、オープンタイプのDHC(ドロップヘッドクーペ)と、クーペタイプのFHC(フィクストヘッドクーペ)を設定していました。
なかでも精悍なフロントフェイスで、もっとも美しいと評されるのが「シリーズ1」と呼ばれる初期のモデルです。
エンジンは3.8リッターまたは4.2リッターの直列6気筒DOHCを搭載し、後のモデルでは5.3リッターV型12気筒も追加。
Eタイプ・シリーズ1は見た目の美しさだけでなく最高速度240km/hを誇り、1960年代のハイパフォーマンスカーにおけるベンチマークとしても君臨していました。
●トヨタ「2000GT」
トヨタは1960年代の中頃に世界に通用するスポーツカーを生み出すという目標を掲げ、1967年5月に「トヨタ2000GT」が誕生しました。
外観のデザインは英国製スポーツカーにインスパイアされたロングノーズ・ショートデッキで、空気を切り裂くような流麗なファストバックスタイルを採用。
内装も海外のスポーツカーの要素を多く取り入れ、ローズウッドをふんだんに使ったインパネやセンターコンソールに7連メーターを搭載するなど、まさに当時の国産車とは一線を画するものでした。
エンジンは国産量産車初となる2リッター直列6気筒DOHCで、ツインチョークのソレックス3連キャブレターを装着して最高出力150馬力(グロス)を発揮。
パフォーマンスも最高速度220km/h、0-400m加速15.9秒、0-100km/h加速8.6秒と、十分に世界で通用する走行性能です。
後にフロントマスクのデザイン変更などマイナーチェンジがおこなわれ、1970年までのわずか3年ほどで生産を終了。輸出分を含めても生産台数はわずか337台でした。
●日産「フェアレディZ」
日産は1950年代にはスポーツカーを生産しており、1962年にはアメリカ市場も見据えたオープンカーのダットサン2代目「フェアレディ」がデビューしました。
実際にアメリカでも好評だったことから、日産はさらにアメリカでの需要を見込んで、1969年に新時代のスポーツカーとして初代「フェアレディZ」を発売。
外観はスポーツカーらしさあふれるスピード感のある、ロングノーズ・ショートデッキを採用しました。
さらに特徴的なのは、シャープな印象のフロントノーズとルーフからテールエンドまで緩やかなカーブを描くキャビンの融合で、まさにファストバックと呼ぶにふさわしいデザインです。
エンジンは後に名機と呼ばれた2リッター直列6気筒SOHCの「L20型」がスタンダードで、輸出用に2.4リッターの「L24型」があり、2.4リッター車は遅れて日本市場にも投入されます。
さらに、同じく1969年に誕生した「スカイラインGT-R」と同じ2リッター直列6気筒4バルブDOHCエンジンを搭載し、最高出力160馬力(グロス)を誇る「フェアレディZ432」もラインナップ。
軽量なボディにストラット式4輪独立サスペンションによる走りの良さと、既存のクルマから積極的にパーツを流用することで比較的安い価格設定としたが相まってヒット作となり、とくにアメリカでは生産台数の8割近くが売れたほどの大ヒットを記録しました。
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