ホンダ「シビック」“らしさ”追求した新型はどう進化? 誕生50周年目前に11代目へ
ホンダは11代目となる新型「シビック」を世界初公開しました。約50年にわたって進化を続けてきたシビックですが、いったいどのようなモデルに刷新されるのでしょうか。
新型シビックは見れば見るほどジワジワ来るデザインに進化!?
1972年に初代が登場して以降、49年10世代にわたって進化・熟成を遂げてきたホンダ「シビック」。
現在は世界の10工場で製造され、世界170カ国以上で発売。年間販売台数68万台、累計販売台数2700万台以上(2020年度時点)と、シビックはワールドワイドにおけるホンダの「顔」の1台といっていいでしょう。
ただ、日本市場では紆余曲折な人生(クルマだから車生)を送ったのも事実です。
「シビック=万能なベーシックカー」というポジションだったのはじつは6代目(通称:ミラクル)までで、7代目以降はその座を「フィット」に託し、「グローバルコンパクト」としての立ち位置へとステップアップ。
しかし、日本では過去のイメージを引きずる人が多く、「価格・サイズを含めてシビックではない」、「日本市場を捨てた」ともいわれました。
しかし、ホンダ側もシビックの変革を明確にPRしてこなかったことや、さらに8代目はセダンのみの設定、9代目は「シビックタイプR」のみでそれも限定750台と、日本におけるシビックブランドを粗末に扱っていたことも否めません。
現行モデルの10代目は2017年に日本市場に導入されました。久々のグローバルモデルであるとともに、初めてタイプRとの並行開発されたモデルで、とくにハッチバックはワイド&ローのスポーティなスタイルやキビキビとした走り、MTの設定も相まって日本市場では販売台数は決して高くなかったものの一定の支持を得ることができたといいます。
そんなシビックは2022年に「生誕50年」を迎えます。それに先駆けて登場したのが新型となる11代目です。
すでにセダンは北米市場でお披露目済み(日本には未導入)ですが、今回はハッチバックの世界初公開となります。
次の50年へ向けてのスタートラインとなる新型シビックは、どのようなモデルに進化したのでしょうか。
開発コンセプトは歴代モデルが継承してきた「親しみやすさ」と、単なる実用モデルとは違う「特別な存在感」の融合です。
これはクロスオーバーSUVがスタンダード化した世の中における、上級ハッチバックの存在意義に対するホンダの回答でもあります。
エクステリアの印象は現行モデルと「似ているようで似ていない」です。
より伸びやかになったプロポーションやロー&ワイドをより強調したスタンス、シンプルになった面構成や各部の造形など、最新のホンダデザインのトレンドをシッカリと抑えつつも、シビックらしいスポーティで軽快なスタイルに仕上げられています。
人によってはサイドの間延び感が気になるかもしれませんが、筆者(山本シンヤ)はオプションのリアウイングの装着で凝縮感が増すように感じたのと、赤や青のようなボディカラーのほうがマッチングは良さそうだと思いました。
新型シビックとの初対面はスタジオでしたが、そのときの印象は2021年4月にフルモデルチェンジした新型「ヴェゼル」と同じように「えっ! これでいいの?」というものでした。
しかし見れば見るほどジワジワ来るデザインで、逆に現行モデルが味濃いめで野暮ったく感じてしまったくらいです。恐らく、画面越しよりもリアルに自分の目で見たほうが印象は良いと思っています。
インテリアは、新型フィットと新型ヴェゼルで展開中の水平基調でノイズレスなデザインを採用しながらも、コクピット感覚を高めるセンターコンソール周りや質の高さを感じさせるディテールのこだわりなど、シビックらしさがシッカリと盛り込まれています。
個人的なツボは、フル液晶メーター(EXに採用)と空調グリルと加飾が一体化されたアウトレットメッシュで、デザイナー家電を思わせるような「いいモノ感」が漂っています。
また、ステアリングスイッチとの連携がわかりやすくなったメーター表示や直感操作に優れる空調コントロールやディスプレイオーディオなど、利便性が大きく高められているのもポイントです。
ただ、機能や装備は充実するもどこか事務的な印象が拭えないセンターコンソール周りはカイゼンの余地ありかなと感じました。
エクステリアを見ると居住性はデザイン優先かと思いきや、広いガラスエリアによる解放感の高さや視界の良さも相まって高いレベルにあります。
フロントシートは新世代シートフレームを用いた「ボディスタビライジングシート」を採用。実際に座ってみましたが、単純に座り心地やホールド性のみならず、運転のしやすさ&姿勢の安定性などが大きくレベルアップしているがわかりました。
リアシートはホイールベース拡大(+35mm)や樹脂テールゲート採用(ルーフボリュームを50mm下げながら現行同等のヘッドクリアランスを確保)などにより居住性もアップ。
さらにリアオーバーハングが20mm短くなっていますが、ラゲッジスペースは細かな改善で現行モデル同等の荷物が搭載できるスペースがシッカリと確保されています。
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