14億円の黒すぎるブガッティがついに完成! 「ラ・ヴォワチュール・ノワール」のオーナーはロナウドか?
オーナーは、故ピエヒ氏? それともサッカー選手のロナウド氏?
ラ・ヴォワチュール・ノワールは、本質的な美しさを強調するために無駄なラインを減らしたこと、あるいは巨大かつ支配的なリアウイングを廃したこともあって、オリジナルのアトランティークと同じくらいに「ミニマリスト」的なデザイン哲学のもとに開発されたクーペとなっている。
デザイナーはオリジナルであるT57アトランティークの精神を再解釈し、文体的かつ技術的に特定の形状を開発した。このデザインワークには「シロン」より大幅に拡張されたノーズや、T57SCアトランティークの「背びれ」を昇華したルーフ中央を前後に縦断する背骨のようなライン、そして古典主義的なリアエンドが含まれる。また、フロントバンパーはボディワークに穏やかに融合され、フロントガラスはヘルメットのバイザーのようにサイドウィンドウと繋がっているようにも見えるだろう。
●開発・テスト期間に2年を費やして完成
視覚的な流れを中断するような破壊的ラインがボディのどこにも存在しないことは、すべての面が一体化されているように見えることを意味する。これにより、車体の姿勢をハイパースポーツカーから上質なグランドツアラーへと変貌させているのだ。
またいくつかの驚異的なディテール、たとえば一面ごとに25個以上のLEDライトが組み込まれたヘッドライトや、完璧に見えるように磨き込まれている3Dプリントされたフロントグリルの各セルは、プロポーションの美しさを大いに引き立てている。
さらに、エレガントなテールランプによって収束されるリアは、継ぎ目のないシングルピースのサラウンド形状を成している。そしてテールエンドにずらりと並ぶ6本のマフラーカッターもまた、アトランティークへのオマージュである。
いっぽうインテリアについても、ブガッティはT57SC版「ラ・ヴォワチュール・ノワール」に基づいて、ハバナブラウンのグレインレザーで完全に仕立てた。この天然素材はセンターコンソールやドアの様々な部位で、特別に研磨されたアルミニウム製キャッピングと美しいコントラストを見せる。またドライビングモードは、洗練されたローズウッド製スイッチひとつで切り替えられることになっている。
アンシャイト氏は、このクルマについて以下のコメントを記している。
「ラ・ヴォワチュール・ノワールは、例えばブガッティの聖地モルスハイムからエットレの故郷ミラノを目指すドライブなど、長距離を走るには究極の夢のクルマです。完璧な美しさとパワフルなドライブの組み合わせは、このワンオフ車で最高潮に達します」
ただ1台のみ製作するモデルであるにもかかわらず、ブガッティは2年の歳月を費やして、ほかのハイパースポーツカーたちと同様の基準でラ・ヴォワチュール・ノワールを開発した。新規設計されたすべてのパートは、厳格なブガッティのテストと品質規格に合格しなければならなかったからだ。風洞実験およびテストベッドでの試験、そしてテストトラックや全スピード域をカバーする敷地外テスト走行を敢行するとともに、広範なシミュレーションもおこなわれている。
そしてボディワークやクーリング系、熱力学、ホイールベースなどに大幅な変更を加えた結果、完璧なバランスが得られた。
「ラ・ヴォワトゥール・ノワールは1回限りですが、テスト車両を使用して、ハンドリングや運転安全などのすべての分野で開発とテストをおこない、承認を得るために2年間を費やしました」と、ブガッティのコーチビルディングプロジェクトの責任者であるピエール・ロンメルファルガー氏はコメントしている。
ステファン・ヴィンケルマンCEO曰く「ラ・ヴォワチュール・ノワールは、私たちの長い伝統、フランス、ジャン・ブガッティの創造的な作品に敬意を表しています。同時に、我々は新しい時代の優れた技術、美学、そして極上の贅沢をもたらしています。ラ・ヴォワトゥール・ノワールは自動車工学の最先端にあるとともに、独自の技術を誇る彫刻のような美術品でもあるのです」
この一品製作のラ・ヴォワチュール・ノワールは、2年前の初公開の時点で、すでに1100万ユーロ(税別)、つまり約14億円という驚くべき価格で、さるブガッティ愛好家に販売されていた。
現時点では明かされていない購入者については、発表時の巷のうわさでは元VWグループ会長で、現在のブガッティ復活の立役者である故フェルディナント・ピエヒ博士、あるいはサッカー界の現役レジェンドで、先ごろ同じブガッティから「チェントディエチ」を購入したと伝えられたばかりのクリスティアーノ・ロナウド氏の名前が取りざたされていたが、ピエヒ博士が鬼籍に入った今となっては、やはりC.ロナウド氏とみるべきであろうか?それとも、まったく別の人物なのか?
今後の続報が待たれるところである。
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