14億円の黒すぎるブガッティがついに完成! 「ラ・ヴォワチュール・ノワール」のオーナーはロナウドか?

漆黒のブガッティ「ラ・ヴォワチュール・ノワール」が、2年の開発期間を経てついに完成した。どうしてワンオフモデルに2年もの時間を費やしたのだろうか。

黒い彗星、2年の歳月を経てついに完成!

 今から2年前、2019年のジュネーヴ・ショーに黒い彗星のごとく現れたブガッティ「ラ・ヴォワチュール・ノワール(La Voiture Noire)」。1930年代のブガッティ「T57SCアトランティーク」にオマージュをささげるべく誕生し、たったひとりのエンスージアストのために創られるワンオフ車両は、発表から2年もの歳月をかけた大規模な開発作業とテストののち、まもなく正式にブガッティの「アトリエ」をあとにするという。

14億円もの「ラ・ヴォワチュール・ノワール」のオーナーは誰なのだろうか
14億円もの「ラ・ヴォワチュール・ノワール」のオーナーは誰なのだろうか

「ラ・ヴォワチュール・ノワールが完成することによって、私たちは世界でもっとも洗練されたハイパースポーツカーを開発する能力を再び実証することになるでしょう」

 ブガッティ・オトモビルCEOのステファン・ヴィンケルマン氏は、プレスリリース内で語っている。

「クーペの息をのむような彫刻は、漆黒のカーボンファイバーを採用したことにより、とくにエレガントに映ることでしょう。このワンオフ車両は、純粋なビジョンから実現に至った真のグランドツアラーであり、ブガッティの創造性と芸術性を表す唯一無二のプロジェクトでもあります。先駆的な精神、完璧への情熱、そして自分自身の限界に何度も挑戦したいという願望は、110年以上前に会社が設立されて以来、ブガッティを特徴づけてきたものなのです」

 フランス語で「黒いクルマ」を意味する「ラ・ヴォワチュール・ノワール」という車名は、自動車界におけるもっともミステリアスなクルマにちなんだもの。ブガッティの開祖エットレ・ブガッティの息子ジャンは、1930年代末におけるもっとも完璧で最速のスーパーカーとして、わずか4台が製作されたT57 SCアトランティークの1台に「ラ・ヴォワチュール・ノワール」と名づけ、自ら開発やテストドライブも担当した。

 ところがこの車両は、第二次世界大戦の直前に跡形もなく姿を消す。現在では、ナチスが旧ソ連のエカテリーナ宮殿から持ち去った「琥珀の間」のごとく、自動車界における最高のミステリーのひとつとして語り継がれている。そして、計り知れない価値のある1台とされている。

 T57アトランティークへのオマージュは、ブガッティ社デザインディレクターのアヒム・アンシャイト氏が長らく夢見ていたアイデアだったという。しかし、この貴重なプロジェクトの実現には、何年もの歳月を要した。

「私たちは、ラ・ヴォワチュール・ノワールを開発するという考えに畏敬の念を持っていました」と、アンシャイト氏は説明する。

 失われたオリジナル「ラ・ヴォワチュール・ノワール」の彫刻的な美しさは永遠に唯一無二ものものといえよう。ジャン・ブガッティは、自動車デザインについて父エットレ譲りの才能を持ち、とくにT57シリーズでは劇的ともいえる美しさを誇るコーチ(サルーン)やクーペを開発。そしてアトランティークで、ジャン・ブガッティは自動車史に輝く傑作を遺すことになる。

 その素晴らしき先達を再解釈するために、現在のブガッティ社デザインチームは、過ぎ去った時代のテクノロジーやマテリアル、クリエイターの想いを理解し、この作品を21世紀に更新する必要があったのだ。

【画像】14億円のブガッティのディテールをチェック!(23枚)

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