純正装着のミラーをなぜ変える? 昔流行った「ドアミラーカスタム」需要はどう変遷した?
技術革新でドアミラーはどう変化していく?
セリカXX以外で、海外仕様ドアミラーがほぼ加工なしで装着できたのは、三菱「スタリオン」です。受注件数ではセリカXXほど多くはありませんでしたが、根強い人気がありました。
そのほかの純正ドアミラーは、当時の日本仕様車に装着するために様々な工夫が必要でした。
最大の課題は、ドア型にドアミラーの取り付け場所がないことです。
そのため「ステー」と呼ぶアタッチメント用の金属パーツを作成。ドアのモール部分にドリルで小さな穴をあけ、そこにステーの下部をビス留めし、ステーの上部にフックを設けてドア型に固定します。ドアミラー側には、ステーの取り付け用となる穴をタッピングします。
取り付けは、窓を開けた状態で内側からドアミラーを固定するという考え方です。
当時の海外仕様ドアミラーの多くは、ミラー自体を手で押してミラーの角度調整をするタイプでしたので、こうした加工によって様々なモデルへの対応が可能でした。
また、一部のホンダ車の場合、ドアミラーの内側に調整用のレバーがあり、日本仕様に向けたさらなる加工が必要となりました。
では、フェンダーミラーを取り外した後、ボディ側の穴をどうしたかといえば、当時はオーナメントと呼んでいた樹脂製パーツで開いた穴をふさいでいました。
こうしたフェンダーミラーからドアミラーへのカスタマイズに対する需要は、1983年以降に新車のドアミラー装着が進むなか、徐々に減少していきました。
別の視点でドアミラーへの変遷を見ますと、ドアミラーの普及が進み始めた頃、市場では「目のやり場に困る」というユーザーの声がよく聞かれましたし、実際、筆者自身もそうした感想と持ちました。
フェンダーミラーの場合、運転席から目線を動かすだけでミラーを見ることができますが、ドアミラーの場合、とくに助手席側のミラーを見る時に首を横に向けて視線を大きく変える必要があるからです。
いまではそうした行為はすっかり当たり前となり、ドアミラーに対する違和感を持つ人は減ったと思います。
とはいえ、レクサス「ES」や「ホンダe」が採用している小型カメラによるデジタルミラーによって、車内モニターに車両の斜め後方部が投影されるようになり、結果的にドライバーの首振りの角度は減少しています。
1980年代、フェンダーミラーからドアミラーへと移行したように、デジタルサイドミラーが近い将来、メーカー各社で全車標準装備されるのでしょうか。
今後の市場動向を注視していきたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
90年代にランクル77を購入した時
無骨さに惚れて、あえてフェンダーミラーを選択したなぁ
(当時、ドアミラー、フェンダーミラーが新車購入時に選択出来た)
フェンダーミラーの穴塞ぎ用のオーナメントは「いかにもオーナメント貼ってます」的なメッキ調のものや、ボディカラーに対してなるべく浮かないよう黒や赤、白色のもの等があったね。自分のも当時、後付けで純正ドアミラーを付けてたけど電動じゃなくミラーガラスを直接押して調整するタイプだから運転席からの助手席側ミラーの微調整は本当に面倒臭かった。ドアミラー自体も黎明期はそれに加えて可倒式ではなく可撓式だったなぁ。あと自分のはパワーウィンドウだったから必要なかったけど「当時らしい」ってことで言えばこれまたその形状から「いかにも後から取り付けました」感がハンパない後付けパワーウィンドウキットなるものも市中のカー用品店で売られてたね。