純正装着のミラーをなぜ変える? 昔流行った「ドアミラーカスタム」需要はどう変遷した?
かつて、クルマ好きの間で話題となったフェンダーミラーからドアミラーへ変更するというサービスは、どういった経緯で流行したのでしょうか。当時を振り返ります。
ドアミラー化のカスタム 一番人気は、トヨタ「セリカXX」
いまや当たり前になった、ドアミラー。思い起こせば、いま(2021年)から40年前ほど前の1980年代前半、日本では“ちょっと変わったカスタマイズ”が流行していました。それは、フェンダーミラーが標準装備であるクルマにドアミラーを装着することです。いったいなぜ、そのようなブームがあったのでしょうか。
当時、筆者(桃田健史)は大学生でしたが、自動車部品を扱う東京の会社でフェンダーミラーからドアミラーへのカスタマイズに関する用品の加工や販売を手伝っていました。
ちなみに、あれから約40年経って当時の新型車がネオクラシックカーとして再び人気となるなか、中古車市場に出回っている人気車では、新車当時のオリジナル状態を好むユーザーが多いことからフェンダーミラーを装着しているようです。
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ドアミラーの利用が新車で許可されるという話は、1983年に施行された道路運送車両法の一部改正前から自動車雑誌などで取り上げられるようになり、当時の既存車でフェンダーミラーからドアミラーに付け替えたいという要望が全国各地のタイヤショップやチューニングショップなどに寄せられるようになりました。
そうしたなか、海外から純正ドアミラーを逆輸入するビジネスが生まれたのです。
一番人気は、トヨタ「セリカXX(ダブルエックス)」でした。XXとしては2代目となるリトラクタブルライト採用車で、北米仕様では「スープラ」を名乗る、いわゆるA60スープラです。
ご存じの方も多いと思いますが、アメリカではXX(ダブルエックス)やXXX(トリプルエックス)という言葉は成人映画の“格付け”を示す用語としても使われており、そうしたことにも配慮してスープラという名称なったと、当時の自動車業界では“噂”されていました。
そのセリカXXと、北米A60スープラとの部品共通性は高く、ドア部分に特別な加工をせずにドアミラーを装着することができました。
また、当時としてまだ珍しかった電動ミラーでもあり、配線の一部を変えることで日本仕様に対応が可能でした。ただし、左ハンドルから右ハンドルになることでミラーの可動幅を変更するなど微調整が必要となりました。
ドアミラーのほかにも、北米A60スープラ関連の輸入パーツが人気となりました。例えば、リアハッチの下部に張る大型のデカール(ステッカー)や、リアハッチガラスの中央に加工が必要な大型リアスポイラーなどです。
90年代にランクル77を購入した時
無骨さに惚れて、あえてフェンダーミラーを選択したなぁ
(当時、ドアミラー、フェンダーミラーが新車購入時に選択出来た)
フェンダーミラーの穴塞ぎ用のオーナメントは「いかにもオーナメント貼ってます」的なメッキ調のものや、ボディカラーに対してなるべく浮かないよう黒や赤、白色のもの等があったね。自分のも当時、後付けで純正ドアミラーを付けてたけど電動じゃなくミラーガラスを直接押して調整するタイプだから運転席からの助手席側ミラーの微調整は本当に面倒臭かった。ドアミラー自体も黎明期はそれに加えて可倒式ではなく可撓式だったなぁ。あと自分のはパワーウィンドウだったから必要なかったけど「当時らしい」ってことで言えばこれまたその形状から「いかにも後から取り付けました」感がハンパない後付けパワーウィンドウキットなるものも市中のカー用品店で売られてたね。