67年の歴史で初の中止! 東京モーターショーは今後どうなるのか

東京モーターショーは新たなる時代へ

 一方、今回の新型コロナウイルスによる影響とは別に、モーターショーのあり方そのものにも変化が訪れています。

 これまでの自動車業界の主役だった日欧米市場に代わって、年間販売台数が2500万台以上という巨大な市場を持つ中国市場の存在感が高まっており、日欧米の各メーカーも新型車のワールドプレミアの場に中国のモーターショーを選ぶケースが増えてきました。

 また、自動車が単なる移動の道具ではなく、高度な電子機器を備えた技術の集合体となりつつあることを反映し、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)などのような電子機器関連の大規模展示会のほうに注目が集まり、相対的にモーターショーの影が薄くなっています。

「デジタルが発達して、直接情報をお届けできるようになった今、車を展示して見に来て頂くというスタイルがどこまで効率的なのか考えてしまうのは事実」と、豊田章男会長自身も述べています。

 これまでのような、メーカーのプロモーションの手段としてのモーターショーの意味合いはかなり薄れてきていることから、モーターショーのあり方にも変革が求められているのかもしれません。

 しかし、東京モーターショーはもう「オワコン」なのかというと、そういうわけではなさそうです。

 今回の中止に関する会見の締めくくりとして、「次回はさらに進化した東京『モビリティショー』としてお届けしたいと思っております」と、豊田章男会長自身が力強くコメントしています。

東京モーターショー2019では子供の職業体験の一環としてキッザニアブースが展開された
東京モーターショー2019では子供の職業体験の一環としてキッザニアブースが展開された

 日本は、自動車販売市場としては今後爆発的な成長を遂げることを期待するのは難しいでしょう。

 しかし、日本の自動車産業自体は今後も世界をリードしていけるだけの地力の強さを持っていることは間違いありません。

 東京モーターショーは、今後「モビリティ」というより広いカテゴリーのなかで、日本の自動車産業の技術力を世界にアピールするようなショーへと進化していくことでしょう。

※ ※ ※

 2021年秋に開催予定だった第47回東京モーターショー2021の中止は非常に残念なことですが、変革の時代を迎え、新たな形で提示されるはずの次回東京モーターショーを期待しておきましょう。

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Writer: Peacock Blue K.K.

東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。

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