かなりの力作だったのに! イマイチ評価されなかった車3選
ヒットするクルマや話題となるクルマは、デザインや走行性能、装備、価格など総合的に見て優れたクルマといえますが、そうではないクルマが必ずしもダメなクルマとは限りません。そこで、あまり評価されなかったものの、実は光るモノがあったモデルを3車種ピックアップして紹介します。
実はキラリと光る実力があったモデルを振り返る
日本の自動車市場における2020年の販売実績を振り返ると、登録車ではトヨタ「ヤリス」、軽自動車ではホンダ「N-BOX」シリーズがもっとも売れたモデルです。
このような大ヒットしたクルマは、価格やデザイン、諸性能、装備など、総合的に優れたクルマといえるでしょう。
一方で、ヒットしなかったクルマや話題とならなかったクルマが人気車に劣るのかというと、決してそうとは限りません。なかには新車で販売されていた当時はあまり評価されなかったものの、キラリと光るものがあったモデルも存在。
そこで、優れた実力の持ち主だったモデルを3車種ピックアップして紹介します。
●日産「マイクラ C+C」
日産のコンパクトカー「マーチ」は、1982年に初代が誕生しました。巨匠ジウジアーロによるデザインはシンプルながらスタイリッシュで、安価な価格と日常の使用では十分な性能と使い勝手の良さから、日欧でヒットを記録。
欧州で「マイクラ」として販売され、その後も代を重ね、2005年には3代目をベースにしたオープンカーの派生車「マイクラ C+C」が登場しました。
マイクラ C+Cは、日産とドイツのコーチビルダーで数多くのオープンカーの製作を手掛けるカルマン社によって共同開発されたモデルです。
シャシや基本的なデザインは3代目マーチと共通で、ルーフは格納式のガラスルーフを備えた4シーターのクーペカブリオレに仕立てられています。
日本では2007年に、英国工場で生産される輸入車として1500台が限定販売されました。
22秒でフルオープンが可能な電動ガラスルーフによって、手軽にオープンエアモータリングが楽しめるモデルでしたが、本来マーチは実用的な大衆車であり、マイクラ C+Cは特殊な派生車という面がクローズアップされるに留まりました。
しかし、エンジンは国内仕様のマーチには設定されていなかった最高出力110馬力と余裕あるパワーの1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載し、欧州仕様のサスペンションによる優れたコーナリング性能を発揮。
もし、日本でもベースと同じクローズドボディ版も販売されていたら、走りについてもっと高く評価されていたのではないでしょうか。
●ホンダ「ライフダンク」
ホンダは1967年に軽乗用車の「N360」を発売。安価な価格と高性能なエンジンから若者を中心に人気を獲得し、大ヒットを記録しました。
そして、1971年にはN360シリーズの後継車として「ライフ」が登場しましたが、ホンダは初代「シビック」の生産に注力するという理由で、発売からわずか3年後の1974年に生産を終了。
その後、1997年に軽トールワゴンとしてライフが復活し、「トゥデイ」に代わるホンダの主力軽乗用車となります。
1998年には新規格に対応する3代目ライフが登場し、最高出力50馬力の660cc直列3気筒SOHC自然吸気エンジンを搭載したベーシックモデルというコンセプトを踏襲してヒット車になります。
そこでホンダはラインナップの拡大を図り、2000年に全グレードともターボエンジンを搭載した派生車の「ライフダンク」を発売しました。
ライフダンクはライフとは異なり若い男性をターゲットに開発したモデルで、外観ではフロントフェイスが精悍なデザインとされ、スポイラー形状のバンパーなどを採用。トップグレードの「TR」には大型のルーフスポイラーも装着されました。
エンジンは大容量の空冷インタークーラーを装備して最高出力64馬力を発揮し、足まわりは強化スプリングと前後にスタビライザーを採用(2WD)。ブレーキは軽乗用車としては稀有なフロントベンチレーテッドディスクが奢られています。
ライフダンクは見た目もメカニズムもスポーティさを強調したモデルで、かなりの力作といえましたが、トランスミッションは3速ATのみとなっているなど中途半端な部分が否めず、ヒットすることはありませんでした。
2003年に4代目ライフが登場するとライフダンクは消滅し、短命に終わりました。
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