ランボルギーニ・ウルスで「関西・中部横断400キロ」オフロードで体験した走破性の高さとは

ランボルギーニのSUV「ウルス」で日本縦断するプロジェクト「UNLOCK ANY ROAD JAPAN」。大阪から京都を経て名古屋までを担当した金子浩久氏のレポート。

ウルスの舌を巻くほどのオフロード性能

 誰しもが新型コロナウイルスの終息を願うばかりのご時世にあって、この状況を少しでも前向きに捉え直すことができないかと考えたランボルギーニも、同社のSUV「ウルス」を日本の北から南まで縦断させるキャンペーン「UNLOCK ANY ROAD JAPAN」を展開した。

「全国を巡るなかで出会う日本の美しさ、力強さなど多くの魅力をサイトやSNSなどから発信し、どんな道にも臆することなく先に進むことで新たな発見があることを皆さんに伝えます」

 #URUS JAPANや#ウルスジャパンなどのハッシュタグを付けた画像や動画などをTwitterやInstagramなどに投稿し、「URUSで繋がる」で日本全国を繋げることを訴えようというのだ。もちろん、感染防止対策を徹底して。

大阪から京都を経て名古屋までを担当
大阪から京都を経て名古屋までを担当

 筆者はその趣旨に賛同したので、大阪から京都を経て名古屋までの区間を受け持った。福岡、広島とウルスをバトンタッチして3人目だそうだ。運転するウルスは「パールカプセル」というグレードに設定された3色のうちの「Giallo Inti」というパールイエロー。

 今までウルスは何度か運転したことがあるが、走り始めた時の印象は大阪でも変わらなかった。個性的で、他のどのSUVにも似ていないエクステリアやインテリアデザインからは想像できない乗りやすさや扱いやすさだ。街中をゆっくりと慎重に転がす限り、エンジンはアイドリングから太いトルクを発生して車両重量2200kgの巨体を軽々と加速させる。走行モードをノーマルモードに相当する“STRADA”に入れているので、乗り心地は重厚で優しく柔らかい。

●ランクルで下見した過酷なオフロード

 大阪から最初の目的地は、奈良県宇陀市の「奈良トライアルマウンテン」。自然の山を活用したクローズドオフロードコースで、普段は2輪と4輪のスポーツ走行やトライアル競技、レースなどがおこなわれている。

「平日は、メーカーの新車開発にも貸し出しています」

 コースオーナーさんの貫禄たっぷりのランドクルーザーでコースを下見させていただくと、岩場や急斜面、曲がりくねったオフロードに圧倒されてしまった。メーカーも来るわけだ。

 ウルスは、こんなに過酷なところを果たして走れるのだろうか?

 筆者は、まだウルスをオフロードで走らせたことがないのでちょっと不安になってきた。乗って来たパールイエローのウルスにはここを走るために必要なオフロードモードの「TERRA」と「SABBIA」がオプション装着されていないため、それらが装着されているネイビーのスタッフ用ウルスに乗り換えた。

 ウルスの走行モードは「ANIMA」と呼ばれるセンターコンソール上のレバーから、標準では4つ備わっている。ノーマルの「STRADA」、スポーツの「SPORT」、さらにスポーティな「CORSA」、雪道の「NEVE」。そこにオプションで未舗装路の「TERRA」と砂地の「SABBIA」が加わる。

走行モードは未舗装路の「TERRA」を選択
走行モードは未舗装路の「TERRA」を選択

 走行モードはレバーを下向きに動かすだけでなく、センターのモニター画面をタッチしても選ぶことができる。

 TERRAを選ぶと、最低地上高が上がり、画面に表示されている5つのコマのうちの4番目まで上がっていく。実はこの時、モニター画面の右下には重要な表示がなされていて、“上昇”と書かれている。そこをタッチすると、エアサスペンションが働いてもう1段階車高が上がる。後から資料を確認したところ、もっとも車高を上げると、最低地上高は248mmが確保される。反対に、もっとも下げた状態では158mmだから、その差90mm。数字で見るだけでは大した違いではなさそうに思えるかもしれないが、これが大きかった。

 ツルツルと滑りそうな岩や石が連続する斜面を慎重に登っていく。岩や石の角を避けながらウルスを進めていく。トルクが4本のタイヤそれぞれに確実に伝えられ、滑らずに登っていっている。怖いのはタイヤのパンクだ。ネイビーのウルスにはあらかじめオフロード用のタイヤに履き替えてあるが、油断はできない。幸い、サスペンションやボディ裏側のどこかをヒットすることもなく、岩場を登り切った。

 その先に続くのは、急勾配を登りながら、左に急角度で登っていく林の中の細いデコボコのある泥道だ。ここも慎重なアクセルワークが求められるところだが、慎重になり過ぎてコーナーの途中で止まってしまっては再発進でタイヤがスピンして登れなかったり、それを恐れて勢いを付け過ぎてもタイヤのグリップを失うことになるだろう。また、ステアリングを切って戻すタイミング、切る量にも慎重さが求められる。切り過ぎてはタイヤの抵抗がブレーキとなるし、切らなければ脱輪か山の斜面に衝突してしまう。いずれにしても、アクセルワークとステアリング操作がカギとなる難所だ。もちろん、コースオーナーは慣れたものでランドクルーザーを完璧に操作して登り切っていたが、そんな芸当は誰にもできるというものではないだろう。

●ウルスの実力はオンロードだけではない

TERRAモードに入っていると、下りを感知するとヒルディセントコントロールは自動的にONになる
TERRAモードに入っていると、下りを感知するとヒルディセントコントロールは自動的にONになる

 ちょっと緊張しながら林の中に入っていった。切り返さないで、コーナーを曲がれるかどうか不安になってしまうほど、ウルスの巨躯にとってギリギリの幅の道だ。道といっても、泥と砂利の路面はデコボコだから歩いて登ったとしても往生する。

 速度を整え、少しずつステアリングを切りながら角を左に曲がっていく。左右の前輪は向きを変えたところで、それぞれの後輪が回り始める。右後輪は問題なく路面をグリップしている。しかし、左後輪は路面の凹凸によって空転するかもしれない。アクセルペダルを踏み過ぎてもタイヤは空転するだろうし、踏まなければ登っていかない。

 さきほどまでの高速道路での気楽な運転からは一転して、緊張感が高まり意識が覚醒していった。路面とタイヤとクルマの動きにすべての神経を集中させていく。パワーやスピードによらない、オフロード走行の醍醐味だ。

 半ば予想していたが、ウルスは何ごともなくキツいカーブを曲がりながら急坂を登っていった。タイヤの空転や横滑りなど、まったく起こらなかった。見事なものだ。精緻なデジタル制御によってエンジン回転やシフト制御、4輪へのトルク配分などが瞬時におこなわれた結果だ。スポーツカーの「アヴェンダドールS」にも装備されているリアステアも取り回しを良くしている。

 その先も直線の登り坂が続いているのだが、路面がうねるように凸凹している。ゆっくり走っても激しく揺さぶられるはずなのだが、それもキレイに抑えられているのはエレクトロ・メカニカル・アクティブロールスタビライザーシステムの効能だろう。

 林の中を登っていき、今度は右に曲がろうとしたが、そこは崖が崩れて道をふさいでしまっている。広めのところでUターン。いま来た道を下っていく。滑りやすい下り斜面ではヒルディセントコントロールに任せて、ブレーキペダルもアクセルペダルも踏んではいけない。クルマが4輪のブレーキをそれぞれに調整しながら滑らないようにタイヤを回転させて下っていく。TERRAモードに入っているので、下りを感知するとヒルディセントコントロールは自動的にONになる。

 カメラマンの求めに応じて同じことを3回繰り返したが、滑ったり、コントロール不能に陥る兆候すら伺えなかった。もちろん、クルマのどこかを岩や路面にヒットすることもなかった。

 実に見事な悪路走破ぶりだった。意外といってはウルスに失礼だけれども、ここまでオフロード走破能力が高いとは予想していなかったので、うれしい驚きだった。オンロードやサーキットで、ウルスは類稀なパフォーマンスを示すことは体験していたけれども、オフロードもまた他を寄せ付けない実力の高さを持っていることを体感できたのは大きな収穫だった。

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