マツダの「EV戦略」トヨタと連携強化がカギになる? EV比率アップの秘策とは
トヨタのEV向けプラットフォーム「e-TNGA」をマツダが活用!?
現時点で明らかになっているマツダ電動化戦略では、EVについては「MX-30 EV」しか具体的な方向性が示されていません。
しかし、日本政府による2050年カーボンニュートラル実現に向けた「グリーン成長戦略」発表や、欧州でのCAFE(企業毎平均燃費)の強化により、たとえばボルボやジャガーのように、2030年に100%EV化を宣言するメーカーが一気に増えてきました。
国産メーカーでは、ホンダが2040年までにグローバルで新車100%をEVと燃料電池車にすることを表明しています。
こうして、世の中の様子が大きく変化しているなか、マツダとしても早急にEVモデル開発を進める必要があります。
その手段としては考えられるのが、トヨタとの連携強化です。
2019年発表の中期経営計画のなかで、「仲間づくりへの投資」という項目で、「EV C.A. Sprit社でEVに関する共同基盤技術開発を推進」という表記があります。
このEV C.A.Sprit社はトヨタやマツダが共同出資した企業で、すでにその使命を終えていますが、この「共同基盤」とはトヨタでいうEV向けプラットフォームの「e-TNGA」を指します。
e-TNGAの協業では、トヨタが2021年4月の中国上海モーターショーでスバルと共同開発した四輪駆動EV「bZ4X」を世界初公開しました。
その半月後の同年5月には、スバルが「bZ4X」の事実上の兄弟車と見られる「ソルテラ」の存在を明らかにしており、両モデルとも2022年年央に日本を含むグローバルで発売予定です。
こうした考え方を、今後はトヨタとマツダでもおこなう可能性が高いのではないでしょうか。
トヨタの電動化戦略の基本姿勢については、2019年6月に「EV普及を目指して」という記者会見をおこなっています。
そのなかで他メーカーとの共同企画として、ミディアムSUV(現在のbZ4X・ソルテラ)でスバルと、コンパクトカーでスズキとダイハツとの連携が示されています。
そのほかに、ラージSUV、ミドルサイズセダン、ミドルサイズクロスオーバー、ミドルサイズミニバンと合計6つのEVバリエーションを想定しています。
これらのいくつかにおいてマツダがe-TNGAを活用することで、2030年までにグローバル販売25%のEV化を実現することは十分に可能だと思います。
それからもうひとつ、今回のマツダの決算発表の質疑応答では水素の活用についても質問が出ました。
トヨタが国内モータースポーツのスーパー耐久に「カローラスポーツ」の水素エンジン仕様を導入しているほか、日本自動車工業会として水素を活用したe-fuel導入を促進するという発表があったからです。
これについて丸本社長は、「カーボンニュートラルに向けては、マルチソル―ションが必要だ。ロータリーエンジンと水素の相性が良いことは(過去の車両開発で)実証済み。水素やCNGのインフラを活用する、カーボンニュートラルに向けたひとつの技術として(マツダとして)担保している」というに留めました。
マツダの電動化戦略の最新情報のさらなる紹介については、近日中に開催予定の技術説明会を待ちたいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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