自転車の危険行為なぜ増えた? 交通事故減少も自転車事故が増加傾向にある背景とは
警視庁の発表によると、最近自転車のトラブルの発生が多く見られるといいます。一体なぜ自転車の事故が多発しているのでしょうか。
仕事中の自転車と歩行者の事故は62.5%増加
昨今、コロナ禍の影響で外出の機会が減る一方で、フードデリバリー市場が拡大しています。
なかでも、自転車などでデリバリーを展開する業態が急速に増えていく一方で、そのような自転車の利用に関する悪質マナーや交通トラブルも増加しているようです。
リサーチ会社のクロス・マーケティングは、2020年11月に全国の20歳から69歳までの男女を対象に「食品宅配サービス・フードデリバリーに関する調査」をおこないました。
そのなかで、新型コロナウイルスの感染拡大によりフードデリバリーを利用したかという質問について、経験のあると回答した人は39.7%という割合になっています。
また、利用頻度が増加したと回答した人は17.4%、感染拡大後に初めて利用したと回答した人は12.6%でした。
このように、感染拡大の影響によりデリバリーサービスの利用が増加。あわせて、配達する自転車の数も増え事故やトラブルなどが多発しているといいます。
全日本交通安全協会によると、2020年の交通事故の発生件数は30万9178件と、2019年と比べて18.9%減少しているにも関わらず、自転車事故は大きく増加しています。
警視庁が発表している「自転車事故の推移(2020年中)」のデータの自転車関与率の推移をみると、2015年は32.3%、2016年は32.1%、2017年は33.4%、2018年は36.1%、2019年は39%、2020年は40.6%と、自転車事故の割合が増加傾向にあります。
最近の自転車の事故について、警察関係者は以下のように話します。
「フードデリバリーサービスの利用が増えていることで自転車の事故が増加傾向にあるのは事実です。
デリバリーサービスをおこなうなかで、自転車にスマートフォンホルダーを取り付けて、スマホで地図などを確認している人が多く見受けられます。
ですが、それにより走行中に下ばかり見てしまい、急な飛び出しに気づかず衝突する可能性があります。
そのため、腕にケータイを巻くアームバンドなどを使用し、周囲を確認しながら走行するのが良いでしょう。
自転車走行中はしっかりとルールに従って安全に走行していただければと思います」
また、実際にフードデリバリーサービスを自転車でおこなっている都内在住の20代男性は次のように話しています。
「2020年の中頃から、とあるフードデリバリーをやっています。自転車があれば気軽に始められるため、仲間内でも本業の合間にやっている人もいます。
ただ、一時期始める人が多かったこともあり、都内では配達員が過剰に増えたことがありました。
そうした際に、ひとつでも多くの依頼を受けようとして、信号無視や走行中のクルマをすり抜ける同業者を見たことがあります。
またその頃からニュースなどでも取り上げられていましたので、仲間内ではルールを守るように心掛けていました」
※ ※ ※
スマホを使用しながらの走行に関しては各地の条例により、自転車の運転中にスマホを保持して通話したり、画面を注視したりすることは禁止されています。
東京都の場合、違反すると「10万円以下の罰金」が科せられることがあります。
また、スマホを使用しながら運転して相手に怪我を負わせた場合は、重過失傷害罪などに問われたり、被害者から損害賠償を求められたりすることもあります。
自転車は気軽に利用できることから、正しく乗る意識が少ない人もいるかもしれません。
「2020年の交通事故の発生件数は30万9178件と、2019年と比べて18.9%減少しているにも関わらず、自転車事故は大きく増加」とありますが、ここでは、交通事故の発生件数と言っておられ、件数のことを指すと理解できますが、警察庁の「令和2年中の交通事故の発生状況」の34ページでは自転車事故件数は2019年80,473から2020年67,673とマイナス15.9%も減少しています。ここ10年でも最大の下げ率です。東京都(警視庁管内)でも、マイナス12.4%と大幅な減少です。また、全交通事故に占める割合では、全国で2019年の21.1%が2020年に21.9%と微増で、大きく増加とは言えません。正確な表現が望まれます。