穴場の1000万円以下!! JPS仕様のロータス「エスプリ」は現実味ある70年代スーパーカーだ

最上級のレストア車ながら1000万円切りの価格で落札

 ロータス・エスプリS2 JPSは、当初200台が1978年12月から限定生産される予定ながら、最終的には1979年7月までに英国内マーケット向けのRHD(右ハンドル)仕様車が100台。米国向け55台/ヨーロッパ諸国向け30台のLHD(左ハンドル)仕様が85台の、総計185台(ほかに総計149台説もあり)の生産に終わったとみられている。

●1978 ロータス「エスプリS2 JPS」

内装もレストア済の素晴らしいコンディション(C)Silverstone Auctions Limited 2021
内装もレストア済の素晴らしいコンディション(C)Silverstone Auctions Limited 2021

 今回シルバーストーン・オークション社の「The Race Retro Live Online Auction 2021」に出品されたエスプリJPSは、1978年12月21日にヘセルのロータス本社工場からラインオフ。ロンドン近郊ハンプトンコートの「チップステッド・モーターズ(Chipstead Motors)」によって1979年1月20日に登録されたのち、最初の所有者である「ウェイブリー・テキスタイルズ(Waverley Textiles Ltd.)」社に納入されたといわれる。

 車両には「No.22」であることを示す限定バッジを付けられているものの、ロータス社オフィシャルのドキュメントをひも解くと、実際には12台目に製作されたエスプリJPSであることが判明しており、現在ではそのヒストリーも含めて認知されている個体である。

 現在この個体を管理しているのは、デヴォン州エクセター近くの小都市クレディトンに本拠を置く、ヘリテージ・ロータスのオフィシャルディーラー「SJスポーツカー」社である。2017年に入手して以来「ベスト・オブ・ブリード」と呼ばれる最上級の基準に戻すためにFRP製ボディワークをゲルコート状態まで剥離し、オリジナルのストライプセットとアロイホイールを正確なゴールドのカラーリングで仕立てたうえで、オリジナルのブラックでボディを再塗装したという。

 また、オークション出品にあたって添付されたヒストリーファイルによると、新品パーツを多用したエンジンのフルリビルドがおこなわれている。この際、キャブレターのオーバーホール、無数のメカニカルパーツをリニューアルするために2万5000ポンド(邦貨換算約380万円)以上を費やしたほか、細部のブラッシュアップのために3000ポンドの請求書が別に計上されている。

 こうして素晴らしいコンディションを回復したエスプリS2 JPS「No.22」は、英国BBCの大人気TVプログラム「Top Gear」においてジェレミー・クラークソンが紹介したほか、同番組の公式YouTubeクリップにも登場。加えて、イギリスのみならず世界でも屈指の権威を誇るクラシックカー専門誌「Classic Cars」の2019年1月号でも9ページの特集記事が組まれ、その雄姿を全世界にアピールしている。

 オークション出品時の走行距離は6万7295マイル、つまりおよそ10万8300kmで、オリジナルのツールウォレットにジャッキセット、純正のスペアホイール、およびロータス純正のワークショップマニュアルを完備した状態で出品された。

 そして、オンライン競売では6万5813ポンド、日本円に換算すれば約990万円で無事落札されるに至った。

 ジウジアーロ時代のエスプリとしてはおそらくハイエンドに属するであろう落札価格であったが、エスプリというモデルの歴史的ポジションや限定車ならではの希少価値、さらに個体のコンディションを思えば、なかなかリーズナブルに感じられてしまうのは、筆者だけではないだろう。

 ところでこのエスプリS2 JPSについて、オークションハウス側では歴代のオーナーについての詳しいヒストリーを明かしていなかったが、これまで複数のナンバープレートが取り付けられてきたという。しかし「クラシック・ロータスに精通した現在の所有者は、新車としてデリバリーされた際の登録番号を取得することに成功した」と公式オークションカタログには誇らしげに記されている。

 イギリスでの登録を希望する顧客以外にメリットはないのだが、これが付加価値となるというのも英国のオークションらしいのではと妙に納得してしまったのだ。

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