今後はEVじゃないと生き残れない!? 欧米&中国でいまEVが売れている本当の理由とは
2020年に前年比2倍以上とEVが劇的に増えた欧州の真実
世界の主要なEV市場はヨーロッパ、アメリカ、そして中国の3つである。ちなみに市場規模の順にこの3つを並べ替えれば、中国(100万台)、ヨーロッパ(72万台)、アメリカ(25万台)となる(カッコ内は2020年のEV販売台数の概算値)。
このうち、対前年比でもっとも大きな伸びを示したのはヨーロッパで、34万台から72万台へと2倍以上の伸びを示した。これに対して中国とアメリカはいずれも5から10%程度の増加に留まっている。
なぜヨーロッパの伸びは突出して大きかったのか?
これはもう、単純に補助金が増額されたからと考えて間違いない。
たとえばドイツでは、従来の2倍にあたる最大6000ユーロ(日本円で約78万円)もの補助金が受けられるようになった(最大9000ユーロとの報道もあり)。そのほか、フランスでも1000ユーロ増額されて7000ユーロ(約91万円。最大8500ユーロから1万2000ユーロとの報道もあり)が得られるほか、イギリスでも3000ポンド(約45万円)の補助金が支給される。
こうした補助金は、基本的には各国の環境政策に基づいて拠出されているものだが、昨年増額された背景には、コロナ禍で停滞する経済を刺激する目的も含まれていた。自動車産業の規模が相対的に大きなドイツやフランスで補助金額がとくに大きいのは、これがおもな理由だと考えられる。
いっぽう、EVやPHVを新エネルギー車(NEV)として振興してきた中国では、2020年のEV販売台数が対前年比で約15%の伸びを示したが、これは2019年のEV販売が伸び悩んだことから、予定されていた補助金削減を先延ばしにした効果と見られている。
もうひとつ、中国のEV市場で特徴的なのは低価格車の人気が高いことだ。ちなみにセールス・ランキングのトップはテスラ「モデル3」(約400万円)だが、2位の宏光「ミニEV」は、中国でも最廉価の約48万円。3位の宝駿「Eシリーズ」も100万円以下という値付けになっている。
なお、売れ筋ランキングのトップ20は、モデル3を除くとすべて中国メーカー製。さらにいえば、モデル3も2020年から中国製となったことはご存じのとおりである。
アメリカでは2019年の約22万台から約25万台へと3万台近く伸びたが、これは2020年に発売されたテスラ「モデルY」が約8万台を販売した影響と考えられる。
ちなみにアメリカ市場のトップ3はモデル3(約9万台)、モデルY、「モデルX」(約2万台)といずれもテスラ車で、これだけで約12万台を販売。4位のシボレー・ボルト(約2万台)を挟んで、5位にも「モデルS」(約1万3000台)が食い込んでおり、あわせてアメリカのEV市場の50%以上を占めている。
つまり、アメリカのEV人気はテスラによって支えられているといっても過言ではないのだ。
ちなみに、ヨーロッパ、中国、アメリカの自動車市場でEVが占めるシェアは7.3%、5.0%、1.8%とごくわずか。今後もヨーロッパを中心にEVは販売台数を伸ばすと予想されるが、常識的に考えれば、EVが自動車販売の主流になるのはまだまだ先のことだろう。
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