SUVばかり売れてる? 自動車メーカーが次々と新型SUV投入するワケとは
SUVは利益率や「可能性」も見逃せない!?
実は、日本で大人気の「ハリアー」も、北米では「ヴェンザ」として展開し日本以上に販売台数を稼いでいます。
同様に、ヨーロッパでもSUV比率がぐんぐん上昇中。特に売れているのがコンパクトクロスオーバーSUVで、トヨタ「ヤリスクロス」やマツダ「CX-30」などは日本でも主力であると同時に、欧州市場での販売を前提として生まれたといってよいでしょう。
SUVはグローバルで売ることを考えているから、日本にも用意しているのです。
それは、日本メーカー以上に日本で売っているSUVの車種が多いドイツのメルセデス・ベンツをはじめ、BMWやアウディも同様といえます。
もう一つは、利益率も注目すべき要素です。クロスオーバーSUVの場合、背の低いモデルよりも高い値段を設定することが一般的。具体的にいえばトヨタなら「ヤリス」よりも「ヤリスクロス」のほうが販売価格が高いし、ホンダでは「フィット」と「ヴェゼル」も同様の関係です。
それらはSUVのほうが車両価格が高いだけでなく、ハイブリッド比率も高い傾向です。つまり非SUVよりも販売価格が高額となり、一台あたりの利益を増やすことができるのです。
自動車メーカーとしては単純に販売台数だけでなく、利益も考えてSUVを多く売りたいところなのです。
そして最後に、「SUVには可能性がある」というのも挙げられます。
あまり販売台数の多くないSUVとはいえ、一方で、「ライズ」のように当たれば大ヒットすることもあります。セダンが斜陽となりヒットが見込めず、加えてミニバンも売れる車種が固定化されてきた今、セダンやミニバンよりもSUVのラインナップを増やすことがヒット車種を生み出す可能性が高いといえるでしょう。
それらの結果、SUVの車種がどんどん増える状況になっているのです。
ヨーロッパでは今、コンパクトカー販売の約半分がSUVという時代になりました。一度SUVを所有したユーザーは、乗り降りのしやすさ、良好な視界による運転のしやすさ、そして大きなタイヤにより段差などを気にしなくてもよいルーズさなどから、次もSUVを買う可能性が高いといいます。ここ日本でも、そんな状況になるのは時間の問題かもしれません。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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