なぜ今「水素エンジン」? トヨタが開発に本腰 モータースポーツで使うワケ

トヨタがカーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向けて水素エンジンの技術開発に乗り出すと発表。「カローラスポーツ」をベースとした競技車両に搭載し、実戦に投入します。なぜ今、水素エンジンの開発に乗り出すのでしょうか。

なぜ今まで、水素はエンジンの燃料ではなかったのか

 今まで「水素は燃料電池で使う」というイメージだった。多くの人が「燃やすより効率的に有利」だろうと考えていると思う。

 しかし客観的に評価してみると、水素の熱効率は燃料電池用に使っても、エンジンで燃焼させても決定的な差がないという。ではなぜ今までエンジンの燃料として使っていなかったのかといえば、割と単純な理由だったりする。

スーパー耐久の様子
スーパー耐久の様子

 それは水素タンクの性能が低かったためです。

「MIRAI」に使われている水素タンクは800気圧。水深8000mと同じ極めて高い圧力で運用されている。この技術が確立されたのは先代MIRAIから。

 かつてマツダやBMWなども水素エンジンを作ってきたが、タンク性能は低かった(ダイビングに使われる空気タンクと同等の200気圧程度というのが一般的)。

 800気圧の新型MIRAIは600km走れる。燃料電池と水素エンジンの熱効率が同じだとしたら、200気圧タンクだと150kmしか走れないということです。

 BMWの多気筒エンジンやマツダのロータリーエンジンだと熱効率も激しく悪いため、新型MIRAIと同じサイズの水素タンクなら、満充填で100km以下しか走れないということになります。

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