熊本地震による崩落から5年 阿蘇地区の国道が完全復旧! 工期を大幅短縮できた意外な理由とは

2016年4月に発生した熊本地震により崩落した阿蘇地区の国道57号線と阿蘇大橋。国道57号線は2020年10月3日復旧、阿蘇大橋は場所を変え、新阿蘇大橋として2021年3月7日に開通しました。

崩落した国道57号線 復旧後は2本の道が同時開通

 2016年4月14日に熊本で発生した熊本地震。同年4月16日の本震(M7.3)で崩落した阿蘇大橋が、場所を少し変えて「新阿蘇大橋」として2021年3月7日に開通しました。

 通行止めとなっていた国道57号線に加え、新たに「北側復旧道路」も開通し阿蘇地区の国道はすべて完全復旧したことになります。

2021年3月7日に開通した新阿蘇大橋(撮影:加藤博人)
2021年3月7日に開通した新阿蘇大橋(撮影:加藤博人)

 熊本地震は2016年4月14日の前震(M6.4)に始まり、16日の本震(M7.3)で熊本県益城町を中心に熊本市や阿蘇地区は多大な被害を受けました。

 阿蘇地区も震度6の揺れがあり、道路の地割れや隆起により、通行止めの箇所も多く発生しました。

 なかでももっとも被害が大きくまた衝撃的だったのが、阿蘇のシンボルともいわれる「阿蘇大橋」(南阿蘇村)が崩落したことでしょう。

 国道57号線から国道325号線に分岐してすぐの場所に架かる阿蘇大橋は1970年に完成した橋で、1994年にかけ替えられる前は赤く塗られていたことから通称「赤橋」と呼ばれています。

 筆者(加藤久美子)は親戚が熊本・阿蘇方面に大勢いることから、子どものころから幾度となく阿蘇を訪れてきました。

 5年前、その赤橋が本震で崩落したと知ったときには信じられない思いで非常に悲しかったことを覚えています。

 いてもたってもいられず、地震のあと2週間してクルマで阿蘇方面に行ってみましたが、熊本市内から阿蘇方面の道路はほとんどが通行できず、宿泊施設もほとんどが休業しており、大分方面からやまなみハイウェイ経由で杖立(つえだて)温泉まで行くのがやっとでした。

 その後、訪れるたびに橋や道路が開通しており、地震直後はたどり着けなかった定宿にも行きやすくなってきました。

 2020年10月3日には、斜面の崩壊によって地震以来4年半にわたって不通となっていた国道57号(現道)の立野近辺約2キロが開通となりました。

 それと同時にまったく新しいルートで建設されていた「国道57号北側復旧道路」も開通し、熊本市内から阿蘇方面のアクセスが飛躍的にスムーズになりました。

 今回、取材で復旧道路を走ってみましたが、とても走りやすく整備されており、阿蘇五岳を望みながら快適なドライブが楽しめます。

 大津ICと車帰ICのふたつのICがあり有料道路のように見えますが、こちらはずっと無料で通行できるとのことでした。

 国道57号線は従来からある「現道」と新たに建設された「復旧道路」の2本があります。

 なぜ2本同時に開通することになったのでしょうか。国土交通省九州地方整備局に2本の国道57号線について聞きました。

「当初、斜面が崩壊した国道57号線(南阿蘇村立野地区約2キロ)は被害が甚大でこれはもう復旧不可能だろうと考えられていました。

 そこで熊本~阿蘇~大分をつなぐ幹線道路である国道57号をとにかく早くつなぎたいという思いから阿蘇大橋地区の災害復旧事業として北側復旧ルートの検討に着手したのです。

 しかし、現道の斜面崩壊を放置しておくわけにもいかず、無人化施工などさまざまな方法で対策を講じていたところ、崩壊場所の修復がうまく進み、クルマが走行しても問題ない状態にまで復旧できました。

 それで現道も開通させることになり、2020年10月3日に現道と復旧道路の2本の国道57号線が同時に開通したというわけです」

 国道57号線は重要な幹線道路ですし、今後、何らかの災害や工事などでいずれかの道路が通行止になった場合でも迂回がスムーズにでき、GWや夏休み時期を中心とした行楽渋滞を避ける場合も迂回できるのは大きなメリットといえそうです。

【画像】熊本地震から5年後に新阿蘇大橋開通! 崩落現場は震災遺構として保存(19枚)

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