栄光の「ル・マン」のポルシェは約300万円で落札! 「924」はまだ射程圏内だ

ポルシェGB正規ディーラーによるオフィシャルレストア車両

「The Race Retro Live Online Auction 2021」に出品された1988年型ポルシェ924 Sル・マンは、37台が作られたというアルパインホワイト仕様の1台であるだけにとどまらず、ポルシェAGと正規代理店が公式におこなったレストアの対象となったことでも特筆に値しよう。

●1988 ポルシェ「924 S ル・マン」

ボディサイドに「Le Mans」の文字が誇らしげに付けられている
ボディサイドに「Le Mans」の文字が誇らしげに付けられている

 ポルシェの英国法人では、毎年オフィシャルの「ポルシェセンター」ととくに認められたパートナー企業を対象に、クラシックモデルのレストアコンペティションを開催しているという。

 そして、ウィルトシャー州スウィンドンの「ポルシェセンター・スウィンドン」は、2016年のコンペティションに参加するにあたり、ポルシェのフロントエンジン車の40周年記念という名目で、この個体を選んだとのことなのだ。

 ところで、レストアのセオリーとして適切なベース車両を調達することが重要なのは明らかだが、この924 Sル・マンは完璧なヒストリーを有していたようだ。

 今回のオークション出品に際して添付されるサービス記録簿には、歴代わずか2名のオーナーのために18回分のスタンプが押されているとアナウンスされた。その多くはランカスターおよびコルチェスターの正規販売店「ポルシェセンター」から発行された多くの請求書や、古いMOT証明書なども同封されている。

 ポルシェセンター・スウィンドンがレストアベースとしてこの924Sをチェックした時から、徹底的なリニューアルが各パートで必要になることは明白だったという。

 そこでボディは塗装が総剥離され、腐食しやすいアウターおよびインナーのサイドシルはすべて作り直し。モノコック全体に細心の注意を払ってフル再塗装がおこなわれた。

 またランニングギアについては、可能な限り元の部品を保持しつつも、完全に組み直されている。

 一部のサスペンションとブレーキ部品を交換するかたわらで、ディスクパッドやフューエルライン、ブッシュ、ピレリ社製タイヤなどはすべて新品に換装されている。インテリアもすべてクリーニングが施されるとともに、ポルシェ・クラシックでも当時欠品となっていたダッシュボードは、専門家のリペアによって往時の輝きを取り戻したそうだ。

 さらにエンジンでは、カムシャフトやテンションローラー、バランスベルトなどを交換したうえでオーバーホールし、そのほかの包括的なリニューアル作業が施されたという。

 これらの苦労の末に復元された924 Sル・マンは、ポルシェセンター・スウィンドンが自ら制作した特別記念リーフレットにその作業内容が紹介されることになった。

 また、レストアに至るまでのヒストリーについても、ポルシェ・クラシックの公認証明書とともに記録として残されているとのことである。

 2020年6月に、ポルシェセンター・スウィンドンから熱心なポルシェ愛好家である現オーナーに販売され、彼は慎重に選ばれたコレクションの一部として、この924 Sル・マンを楽しんできたというが、様々な事情から手放す決意をしたという。

 2021年3月28日に締め切られたオンライン入札の結果、このポルシェ924Sル・マンは2万1375ポンド、日本円に換算すれば約321万円で落札されることになった。

 昨今、国際マーケットにおける評価をじわじわと高めているポルシェ924のなかにあって、今回の落札価格はレストア済みの極上車としては平均的なものと思われる。

 栄光の「ル・マン」の名を冠した限定車、しかも英国ポルシェ公式のレストア車両としてはかなりリーズナブルだったのではというのが、筆者の率直な感想である。

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