ATでも「NSX」は800万オーバー! 「80スープラ」は700万円! どうして高い? 和製スポーツカー

『ワイスピ』で火がついたハチマル・スープラも高値安定

 次に紹介するジャパニーズ・スポーツカーは、映画『ワイルドスピード』に登場して、ポール・ウォーカーがドライブして人気に火がついたトヨタ「スープラ(A80型)」である。

●1993 トヨタ「スープラ ツインターボ(MT)」

英国で正規販売された「スープラ」は、メンテナンスもしっかりされており、予想落札価格を上回るハンマープライスだった(C)Silverstone Auctions Limited 2021
英国で正規販売された「スープラ」は、メンテナンスもしっかりされており、予想落札価格を上回るハンマープライスだった(C)Silverstone Auctions Limited 2021

 通称ハチマル・スープラは、中古車が比較的安かったこともあり、チューニングやドレスアップのベース車両として人気が高く、1990年代後半から2000年代にかけては、数多くのエアロパーツやチューニングパーツも販売されていた。

 しかし、『ワイルドスピード』の影響で、海外バイヤーがハチマル・スープラを買い漁ったこともあり、日本国内の中古車数が減ったばかりか、中古車価格も上がってしまうことになる。

 英国シルバーストーンのオークションに登場したスープラは、日本から流出したものではなく、イギリスで正規に販売されたマニュアルトランスミッション搭載車200台のうちの1台である。

 この個体は、初代オーナーと2代目オーナーがしっかりとメンテナンスしており、2018年に3代目オーナーとなった人物が、ボディの全塗装も含む外装の修復、ウインドウやウェザーストリップの交換、エンジンのタイミングベルト交換やブレーキシステムの点検整備、サスペンションやクラッチの交換といった、全面的なレストア作業をおこなっている。

 走行距離は7万7951マイル(約12万4700km)だが、年式を考えると過走行というマイレージでもない。

 予想落札価格は、3万5000−4万ポンド(邦貨換算約530万−605万円)だったが、最終落札価格は4万7250ポンド(邦貨換算約715万円)と、予想を上回る価格だった。

●1974 ダットサン「240Z スーパーサムリ」

納屋物件だった「240Z スーパーサムリ」は、英国チューナーが手がけた貴重な1台だ(C)Silverstone Auctions Limited 2021
納屋物件だった「240Z スーパーサムリ」は、英国チューナーが手がけた貴重な1台だ(C)Silverstone Auctions Limited 2021

 最後に紹介するジャパニーズ・スポーツカーは、これまで紹介した2台がノーマル然のコンディションであったのに比べ、英国チューナーが手がけたコンプリートカーである。

 S30型「フェアレディZ」は北米では高い人気を誇るが、英国ではどうなのであろうか。

 この個体のヒストリーは、キプロスで販売されていたノーマルの240Zを、当地に赴任していたロイヤルアーミーの大尉が購入、英国に持ち帰った後にレーサーであるエディ・スティーブンス氏に売却。そのスティーブンス氏が、英国のチューナー「サムリ」に車両を持ち込んでチューニングを施してレース参戦していたという。

 チューニング内容はエンジンをボアアップして2565ccに排気量アップし、Φ45mmの3連ウェーバーキャブをセット。トランスミッションの強化やロールケージを装着し、外装もサムリオリジナルのアイテムを装着している。

 しかしスティーブンス氏はレースからの帰宅途中、自損事故を起こしてしまう。そのため、この240Zはそのまま長期間納屋で保管されることになる。

 そして1998年に納屋物件になっていたこの個体が見つけ出され、全面的なレストアが施されたのである。

 走行距離は5821マイル(約9313km)で、真正のスーパーサムリであるという保証書も付属している。

 予想落札価格は、4万5000−5万5000ポンド(邦貨換算約680万円−830万円)と3台中もっとも高額であった。しかし、最終落札価格は4万6688ポンド(邦貨換算約707万円)と、予想範囲内であった。

* * *

 今回紹介した3台の落札価格から、ローマイレージで限りなく純正の状態をキープしている1990年代のジャパニーズ・スポーツカーの価格は、上昇していると見てもよいだろう。

 いま、こうした国産スポーツカーを大切に乗り続けている人も多いだろうが、日本での問題は旧車への自動車税が高すぎることだ。欧米では古いクルマは逆に優遇される場合が多く、こうしたことも名車といわれる貴重な日本車が海外へ流出する理由のひとつになっているのだろう。

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Writer: VAGUE編集部

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