トヨタ「ヴェルファイア」がほぼ廃止へ? アルファード人気に押された姉妹車の行く末
ヴェルファイアからアルファードへ乗り換えるユーザーも
以前ヴェルファイアを専門に扱って、大量に販売していたネッツ店からは次のような話が聞かれました。
「最近ではヴェルファイアからアルファードに乗り替えるお客さまが増えています。中高年齢層のお客さまからは、ヴェルファイアは若い人向けのデザインだという意見を聞きます。
いまは若いお客さまが少ないので、アルファードが好調に売れています。今後ヴェルファイアは、特別仕様車を除くと整理されるので、いつかは車種自体が廃止されるかもしれません」
一方、以前からアルファードを販売してきたトヨペット店は次のようにコメントしました。
「ヴェルファイアはスポーティで精悍な印象が強く、ブラックのボディカラーが似合います。これも魅力的ですが、多くのお客さまが高級車に求めるのはやはりホワイトパールでしょう。
このボディカラーがピッタリなのは、豪華さを併せ持つアルファードのフロントマスクです。
とくにアルファードには『ホワイトパールクリスタルシャイン』に加え、ヴェルファイアには用意されていない『ラグジュアリーホワイトパールクリスタルシャインガラスフレーク』も設定しています」
アルファードのホワイトパール系のボディカラーが人気となるには理由があるようです。前出のトヨペット店のスタッフはこのようにいいます。
「アルファード 2.5S・Cパッケージのホワイトパールは、中古車市場での人気もきわめて高いです。登録して2年程度なら値落ちがきわめて小さく、2年半ほど使われた車両を420万円で下取りしました」
アルファード S・Cパッケージは、2.5リッターエンジンを搭載してエグゼクティブパワーシートなどを備える上級グレードです。価格は466万4000円でカーナビなどは標準装着されています。
アルファードのホワイトパール系のボディカラーはどちらもオプション価格が3万3000円です。
このボディカラーを選び、多少のオプションを加えると車両価格は490万円前後ですが、2年半使って420万円なら値落ちはかなり少ないといえます。
販売店では「このように高値で売却できるという話をすると、大半のお客さまがアルファードのホワイトパール系の色を選びます」と説明します。人気がさらなる高人気を呼んでいるわけです。
アルファードが人気車になるのは好ましいですが、ヴェルファイアは可衰想な気もします。
2008年に2代目アルファードの姉妹車として登場したときは、大柄なボディと睨みの利いたフロントマスクで一躍人気車になりました。それが結局はアルファードに負けてしまったのです。
全店で全車を扱う販売体制はユーザーにとっては便利ですが、好調に売れる車種はますます台数を伸ばし、そうでない車種は落ち込みます。
日産では全店が全車を扱う体制になり、「デイズ」「ルークス」「ノート」「セレナ」以外はほとんど売れなくなりました。ホンダも「N-BOX」「N-WGN」「フィット」「フリード」以外は低調です。
ヴェルファイアがアルファードの9%しか売れなくなった現状を含めて、全店が全車を扱う販売体制は、残酷な結果を招きます。トヨタは以前から車種を削減する方針を打ち出しており、この販売格差も想定通りなのでしょう。
そして先ほど販売店のコメントにあった通り、仮にヴェルファイアが廃止されると、売れ行きが低調だったとはいえユーザーの選択肢が減ります。
全店で全車を買えるから便利では済まされません。ヴェルファイアとアルファードの販売格差は、ユーザーの選択肢が減っていく今の国内販売を反映しているように思います。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
デザイン的にはアルとヴェルだったら迷いなく後者だけどな。
安定感・安心感がある顔っていったらアルのような気もするけど。そんなに差あるんだ。
この前ヴェルファイアが2台並んで止まってたの撮っときゃよかった笑