フロアマットの二重敷きは事故の元!? ズレると危険! ズレ防止の対策は?

意外にも「運転姿勢」がマットのズレの原因に!?

 ドレスアップする目的で社外品に交換している人も多いフロアマットですが、社外品の場合は自分のクルマのフロアの形状にピッタリと適合していないケースや、純正フロアマット用の固定具が使えず、固定しないまま使用するケースが多いようです。

 しかし純正フロアマットでもズレるケースは多いと聞きます。なぜ純正でもズレてしまうことがあるのでしょうか。

 埼玉県にある自動車販売店のオーナーであるN氏に話を聞いてみました。

フロアマットの固定フック
フロアマットの固定フック

「フロアマットがズレる原因はさまざまなことが考えられますが、純正フロアマットで多いのが取り付けられた固定具の破損により未固定になっているケースです。

 純正マットには固定具用の小さな穴が設けられており、フロアに設置されたピンなどでマットを固定するようになっているのですが、固定具が樹脂製のものは破損しやすいのです」

 また社外品にしても純正にしてもマット裏面に設けられた滑り止め防止のゴム製ピンなども消耗しやすいとされています。

 しかし固定具はシートに近い位置に設けられており、足で踏みつけてしまうような場所にはないはずです。

 壊れるということは何かしらの強い力がフロアマットにかかっている可能性が疑われます。

「実際はドライバーの『運転姿勢』にも大きく影響される可能性があると思われます。現在主流のAT車では、アクセルとブレーキを右足だけで操作される人が大半でしょう。そのとき左足はどこにあるのかというのが問題となります。

 たいていのクルマには左足用に『フットレスト』が装備されています。しかし、フットレストではなくフロアマット上に左足を置いていると、コーナーやブレーキなどで無意識にマットを踏む足に力が入り、ズレを生じさせている可能性が否定できません」(自動車販売店 N氏)

 確かにAT普及率がほぼ100%といわれる現在、楽な位置にシートポジションを合わせている人が多いようです。

 そのため、多くのドライバーが実際の正しい着座姿勢よりシートポジションが遠く、結果として体を少しひねった状態でペダル操作していることがあります。

「フットレストは、左足を休めるために設置されているだけではありません。コーナリングやブレーキ操作で動いてしまう体を支える、いわゆる踏ん張るための装備ともいえます。

 そしてここに足を置けばフロアマットに余計な力がかからないので、ズレることもかなり減るはずです。まずはフットレストに無理なく左足が乗る位置までシートを移動させ、フットレストをちゃんと使うようにしてみるといいかもしれません」(自動車販売店 N氏)

 その一方で、N氏は固定具の強度不足についても指摘しています。

「純正フロアマットの固定具は強度が強くない樹脂製が多く、単純にフックやピンを引っ掛けるだけのものです。あれだけの大きさと重さのあるマットを固定するには力不足とも考えられます。

 社外品のフロアマットはデザインやカラーも豊富で、手軽なカスタマイズとして魅力的ですが、選ぶときは純正と同じ形状やサイズで仕立てられている、いわゆる車種専用品を選ぶとズレも少ないと思います」

 では、カー用品店などで販売されている「ズレ防止対策グッズ」などは付けるべきなのでしょうか。

「よく耳にするのが、マットとフロア双方にマジックテープで固定する方法です。あれは一時的には有効だと思いますが、マジックテープに砂などが溜まりやすいので、こまめな清掃が必要になります。

 ほかにもシートレールに帯状のテープを通してサスペンダーのように固定するタイプなども販売されていますが、あまり効果は期待しすぎないほうがいいでしょう」(自動車販売店 N氏)

※ ※ ※

 マットの二重敷きはしないこと、できるだけ純正品のようなピッタリしたフロアマットを使うこと、正しい運転姿勢でフットレストを有効活用することでフロアマットのズレはかなり軽減できそうです。

 いざというとき、フロアマットがズレてブレーキが効かないなどという危険な事態に陥らないように、フロアマットの位置にも気を配りましょう。

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