タイヤはなぜ空気圧低下でバーストの危険性上がる? 「高空気圧=破裂」の印象が大間違いな訳
4月8日は日本記念日協会が認定する「タイヤの日」です。日本自動車タイヤ協会はタイヤの日にあわせて、最悪の場合バーストのおそれもある空気圧低下防止の啓発活動をおこなっていますが、なぜタイヤの空気圧が低くなるとバーストしやすくなるのでしょうか。
風船とは大違い タイヤの空気圧低下に注意
4月8日は、社団法人日本自動車タイヤ協会(略称:ジャトマ)が制定した「タイヤの日」です。春の全国交通安全運動がおこなわれる4月と、輪(タイヤ)をイメージした8(日)を組み合わせたことに由来するといいます。
ジャトマはタイヤの日にあわせて、最悪の場合はバーストのおそれもある空気圧低下防止の啓発活動をおこなっていますが、そもそもなぜタイヤの空気圧が低くなるとバーストしやすくなるのでしょうか。
バーストは、タイヤの側面などが内圧に絶えきれず吹き抜けるトラブルを指します。穴が空いてそこから空気が徐々に抜けるパンクと比べ、走行時にドライバーが受ける衝撃は大きく、一気にハンドル操作が困難になるなど、より重大なトラブルといえます。
バーストの原因としてはタイヤの劣化や過積載が挙げられますが、代表的な原因として空気圧の低下があるといいます。
なぜ、タイヤの空気圧が低いとバーストの危険性が上がるのか、ジャトマの担当者は次のように説明します。
「まずタイヤは空気圧が低下すると負荷能力が下がります。そのため、タイヤとして正常な機能を発揮できなくなります。
また、タイヤは適正低気圧であっても走行中に屈曲運動(たわみ)を繰り返しているのですが、タイヤの空気圧が低い状態になると屈曲運動が過度に大きくなり、タイヤが異常発熱を起こします。
その熱によりタイヤの骨格を形成しているコードが疲労劣化したり、部材間での剥離が生じたりすることで、最悪の場合バーストに至ります」
ちなみに、空気を入れて遊ぶ玩具「風船」の場合、空気を入れすぎることで破裂に至りますが、タイヤと風船ではやはり内部構造が大きく異なります。
ジャトマは「『空気圧が高い=破裂』のイメージについてですが、タイヤはコードやベルト(円周方向にはられた補強帯)といった部材で構成されています。
風船のような薄いゴム層だけではないため、タイヤは正常な使用が想定されるような範囲であれば、空気圧が高くなったとしてもまず破裂するものではありません。タイヤは風船と同様ゴムを使用した製品ではありますが、風船のイメージはなじまないと考えます」と説明します。
なお、乗用車用タイヤの場合、冷間時で最大350kPaまで空気を充てんして使用しても問題ない設計になっているということです。
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ジャトマが2020年に警察、運輸支局、高速道路会社、自動車およびタイヤ関連団体と協力して実施した路上タイヤ点検の結果によると、点検車両206台のうちタイヤに整備不良があったクルマが70台確認され、全体の不良率は34.0%となっています。
整備状況を項目別にみると、「偏摩耗」(4.9%)や「タイヤ溝不足」(1.5%)を大きく引き離して首位となった項目は「空気圧不足」で、不良率は28.2%を記録しました。
また「乗用車」「貨物車」「特種」の3種類に車種を分けて、車種と項目を組み合わせたときの不良率第1位は乗用車の空気圧不足で、不良率は32.0%となっています。
ジャトマは「タイヤの空気圧は自然と低下するものなので、月に1度は空気圧をチェックし、車両ごとに設定された指定空気圧を下回らないように調整いただくよう、管理してご使用ください」と呼びかけています。
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