「自動ブレーキ」定着で過信する人も? 衝突軽減ブレーキが過信禁物な訳
最近のクルマには、通称「自動ブレーキ(緊急ブレーキ)」といわれる衝突事故を軽減させる機能が搭載されています。一部では、この機能が搭載されていることを過信してしまい、衝突事故を起こすケースも起きているといいます。では、衝突被害軽減ブレーキはどのような状況下で作動するものなのでしょうか。
衝突被害軽減ブレーキがあるから「絶対、安心」という過信は禁物!
近年、交通事故の回避や被害軽減を図るため、クルマ側の安全性能は日々向上しています。
なかでも「衝突被害軽減ブレーキ」は通称「自動ブレーキ」といわれているため、一部のユーザーからは「クルマが自動で止まってくれる」と過信するケースがあるといいます。しかし、クルマの機能を過信しすぎるのは禁物です。
自動車メーカーが採用する衝突被害軽減ブレーキは、メーカーや車種により性能差は異なります。
基本的には、カメラやセンサーなどを用いて前方の車両や障害物と衝突する前にドライバーへの警告や、それでもブレーキを踏まない場合には、自動でブレーキをかける仕組みとなっています。
これにより、万が一の事故時の衝撃や破損、怪我の度合いなどを軽減することが可能です。
なお、2020年1月31日に国土交通省は、国産車の衝突被害軽減ブレーキの国内基準を策定。
新型車が2021年11月、継続生産車が2025年12月(軽トラックは2027年9月)からの義務化を公表しています。
義務化することで、今後さらなる普及することが見込まれますが、衝突被害軽減ブレーキはあくまでドライバーの安全支援機能であるため、過信し過ぎることは禁物です。
また、すでに衝突被害軽減ブレーキを搭載している車種に関して、国土交通省は認定制度を設けており、自動車メーカーから申請されたもので、以下の要件を満たしていることが認定の条件です。
・静止している前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しない又は衝突時の速度が20km/h以下となること。
・20km/hで走行する前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しないこと。
・1及び2において、衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも0.8秒前に、運転者に衝突回避操作を促すための警報が作動すること。
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このように、義務化や認定制度により普及活動が図られていますが、国土交通省では衝突被害軽減ブレーキが万能ではないということを動画などで周知しています。
例えば、衝突被害軽減ブレーキ機能の規定速度範囲を超えた場合には、障害物を検知できないという結果となっています。
そのほか、周囲の状況においても太陽の光や雨量などにより、カメラやセンサーが正常に障害物を検知出来ないこともあるようです。
また、衝突被害軽減ブレーキの性能は日々進化しており、同じモデルでもマイナーチェンジなどで検知範囲が拡大しています。
衝突被害軽減ブレーキが搭載され始めた頃では、ほとんどが「昼のみ」や「車両のみ」を検知対象としていましたが、最近では「昼・夜」「車両・歩行者・自転車」というように性能が向上しています。
衝突被害軽減ブレーキについて、国産メーカーの担当者は次のように話します。
「衝突被害軽減システムは、先行車や歩行者などを検知し、万が一衝突する可能性がある場合には、警告音やディスプレーの表示警告でドライバーに注意喚起します。
その後、接近した場合は軽度のブレーキ操作をおこない、さらに衝突する直前に強めのブレーキング操作をおこなうことで、対象物との衝突回避や被害の軽減を支援しています。
しかし、対象物の状態や環境によっては正しく検知出来ないことや、性能を十分に発揮出来ないこともあります。
衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援システムは、作動している状況でもドライバー自身が適切なハンドルやアクセル、ブレーキを操作する責任があります」
また、交通事故の発生状況について、首都圏の警察書交通課の担当者は以下のように話します。
「衝突事故のなかには、衝突被害軽減ブレーキが作動したことで軽傷で済んだケースもあると聞きます。
しかし、実際に軽微な事故を起こした人からは『自動ブレーキがあるから止まると思った』という声もあり、『自動ブレーキ』という呼称もユーザーが勘違いしやすい要因かもしれません」
もともとはレーダーと赤外線でも差があるし、レーダーでも波長の差で問題があるわけで、以前ミリ波レーダーを使ったレクサスがウォータースクリーン(といっても見えないほどの水しぶきではない)を壁と判断して作動したことがあったわけで、機械のすることには限界がある。