【MotoGP第1戦カタールGP】ブレーキトラブル、転倒リタイア……中上選手の開幕戦は厳しい結末に
ロードレース世界選手権MotoGPの2021年シーズン第1戦カタールGP決勝レースが3月28日、ロサイル・インターナショナル・サーキットで行なわれました。MotoGPクラスに唯一の日本人ライダーとして参戦する中上貴晶選手(LCR Honda IDEMITSU)は、開幕戦の決勝レースを転倒リタイアで終えています。オンラインを通して行なった取材をもとに、中上選手の開幕戦についてお届けします。
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MotoGPの開幕戦は、2007年からカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで行われています。2020年シーズンには新型コロナウイルス感染症の影響でMotoGPクラスのみ開催中止となったものの、2021年シーズンは再びカタールで、2年ぶりにMotoGPクラスのシーズンが幕を開けました。
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カタールGPは、MotoGPが行なわれるグランプリの中で唯一、ナイトレースとして開催されるのが特徴です。ちなみに次戦ドーハGPも同サーキットでの開催のため、今季は第2戦までがナイトレースになります。
サーキット全体が照明に照らし出される中、MotoGPライダーたちは昼間のレースと変わらない熱戦を繰り広げます。決勝レースのスタートは現地時間の午後8時。日本時間では午前2時という、観戦には眠気との戦い必至な時間帯です。
2021年シーズンのMotoGPクラスに、唯一の日本人ライダーとして参戦するのが、29歳の中上貴晶選手(LCR Honda IDEMITSU)です。今季で参戦4年目を迎え、これまでの3シーズンは前年のバイクで戦ってきましたが、今季はファクトリーライダー同様に最新型のホンダ「RC213V」を駆ります。シーズン前には「チャンピオン争いがしたい」と目標を語っていました。
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しかし、金曜日のフリー走行2回目(練習走行)ではトラブルに見舞われます。フロントブレーキに問題が発生したのです。チームは解決を試みましたが、セッション中に改善できず、総合14番手で初日を終えました。2020年にはポールポジション(予選1番手)を1度獲得し、表彰台に迫るレースを見せた中上選手のポテンシャルを考えれば、厳しい結果です。
「ブレーキが利かなかったわけではないのですが、安定せずバイクが揺れてしまいました。どうしてなのかはわかりません。(ブレーキの感触が)スポンジのようになって、ブレーキレバーをにぎるとグリップの近くまでくるようになりました。最後にはまったく逆の感じになって、すごく硬くなってしまったんです」
中上選手とチームは翌日に向けて問題解決に取り組み、それは深夜にまで及んだと言います。そして迎えた土曜日の予選で、中上選手はQ1からQ2へ進出を果たします。
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MotoGPの予選は、3回のフリー走行の総合タイムによってQ1、Q2と予選セッションを走るライダーが振り分けられるのです。Q1は総合11番手以下、Q2は総合10番手以上となります。そしてQ1で1番手と2番手のタイムを記録したライダーが、Q2に加わることができます。つまり、予選順位でポールポジションを獲得するには、Q2に進まなければなりません。
中上選手はQ1から予選に挑み、最後のアタックラップでQ1のトップタイムを叩き出しました。続くQ2では11番手タイムを記録。開幕戦の決勝レースは4列目11番グリッドからスタートすることになったのです。
金曜日からの悪い流れを断ち切ることができた……かに見えましたが、そうはいきませんでした。
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決勝レースで11番手からスタートすると、1周目で15番手付近までポジションダウン。さらに7周目の第9コーナーで転倒を喫してしまいます。中上選手はカタールGPを転倒リタイアで終えました。総じて、中上選手にとって厳しい開幕戦になったのです……。
転倒の理由はわからないと語る中上選手。決勝レース後、次戦に向けて言葉少なに「今日のパフォーマンスには満足していません。もっとよく(データなどを)チェックしないといけない。作戦などを変える必要もあるでしょうね」と語りました。
第2戦ドーハGPは、開幕戦と同じくロサイル・インターナショナル・サーキットでの2週連続開催です。厳しいレースの中で得た情報、そして中上選手自身が考える改善ポイントはあるはず。それを踏まえた中上選手の第2戦に期待したいところです。
ドーハGPの決勝レースは4月4日(日本時間4月5日)に行なわれます。
提供:バイクのニュース
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