「ワゴニア」に「ハマー」「ブロンコ」…消えたアメ車の名前が続々と復活する理由とは
世界的なSUV人気で各社ラインナップの拡充が急務
そもそも、そうした名称の復活劇が多いのは、いくつかの理由が挙げられる。
最大の理由は「知名度」だろう。誰も聞いたことのなかった新しい名称を広く知らしめるのは、非常に手間もコストも時間もかかるもの。とくに飲料品などは売り上げを伸ばすのには膨大なマーケティング費用がかかり、計算してみると商品の販売価格の9割がそうした費用になるという笑い話さえある。
そうした費用と時間を一気に短縮できるのが、すでにある知名度の高い名称を再利用するという方法だ。とくに旧型の人気が高いほど、その効果が大きい。レクサスのスポーツモデル「LC」の知名度が、トヨタの「スープラ」ほど高くはないというのも、このような歴史があるなしの差ともいえるだろう。
また、車名には商標という問題がある。自動車メーカーというものは、数多くの車名の商標を取得しており、誰もが知っていそうな言葉を新型車に使うのは、意外と簡単ではない。
ルノーの「クリオ」が、日本で「ルーテシア」の名称を使うのは、すでにホンダがクリオという名称を商標登録していたからだ。
そして、もうひとつ注目してほしいのは、ブロンコやグランドワゴニアをはじめ、ディフェンダー、タフト、キックス、ロッキーという、これらの復活劇の名称がすべてSUVというところだ。
これは端的にいえば、時代のトレンドというのが理由だろう。
いま、日本で人気を集めるのはSUVとなる。2020年の新車販売ランキングでは、強豪ライバルを抑えSUVの「ライズ」が「ヤリス」に次いで2位に入っている。
また、日本だけでなく、SUVの注目は欧州や中国でも非常に高まっている。さらにいえば、アメリカは、もともとSUVの人気が非常に高い。ピックアップトラックのフォードF150が、約30年にわたって乗用車も含めて販売台数ナンバーワンになるお国柄だ。
そこに世界的なSUVブームが到来したのだ。自動車メーカーとしては、売れ筋であるSUVのラインナップをさらに拡充したいと考えるのは当然のこと。
そして、過去に同様のコンセプトでディスコン(終売)になったモデルがあれば、誰も知らない新しい名称を使うよりも、名称を復活させることを選ぶだろう。
SUVのブームが到来したことで、SUVの車名復活が増えた。それが、とくにSUVで多くの復活がある理由といえるだろう。
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