トヨタ「アルファードHV」は何年乗ったら元が取れる? HV車とガソリン車はどっちがお得?
コンパクトカーより価格が高い高級ミニバンではどうなの?
ほかの車種でも「車両価格差-装備の価格換算額-税金の差額=最終差額」と、WLTCモード燃費から割り出した1km当たりの燃料代を組み合わせて、同様の計算をしてみましょう。
ヤリスのSUVモデルである「ヤリスクロス」では、「ハイブリッド G(239万4000円)」とガソリンしゃの「G(202万円)」を比べると、最終差額はヤリスと同様の30万円です。
1km当たりの燃料代はハイブリッド車が2.5円安く、30万円の最終差額は12万kmを走った頃に取り戻せます。
1年間に1万kmの走行なら12年、1.5万kmなら8年です。これも年間1.5万kmを走るか否かが、損得勘定の分かれ目になりそうです。
フィットの「ホーム」グレードでは、ハイブリッド車(206万8000円)の価格が1.3リッターガソリン車(171万8200円)と比べて34万9800円高いのですが、前者にはUSBジャックや本革巻きのステアリングホイールなどが装着されます。
これらの装備の価格換算額は約3万円で、価格差から差し引くと、実質差額は32万円に縮まります。
さらにハイブリッド車は購入時に納める税金も4万円少々安く、最終差額は28万円です。コンパクトカーは競争が激しいので、フィットはハイブリッド車を割安に設定しており、ガソリン車との価格差はヤリスより少なくなりました。
フィット(ホーム)の1km当たりの燃料代は、ガソリン車が7.2円、ハイブリッド車は5円なので、1km当たり2.2円の差が生じます。
ハイブリッドが燃料代の節約で最終差額を取り戻せるのは13万km弱を走った頃です。1年に1万kmを走れば13年、1.5万kmなら8年から9年です。
高価格車で販売の好調なアルファードはどうでしょうか。アルファードのハイブリッド車は、後輪をモーターで駆動する4WDのみの設定なので、ガソリン車も2.5リッターエンジンの4WDと比べます。
グレードが「G」の場合、ハイブリッド車(534万4000円)の価格はガソリン車(479万3000円)に比べて55万1000円高いです。購入時に納める税額は、ガソリン車が約14万円上まわり、最終差額は41万円と考えられます。
1km当たりの燃料代は、ガソリン車が13.2円、ハイブリッド車が9.8円で、後者は1km当たり3.4円を節約できます。41万円の最終差額を取り戻せるのは12万kmを走った頃でしょう。
アルファードの場合、ハイブリッド車の価格が高く、ガソリンエンジンと比べたときの最終差額も41万円に達しました。
その代わり燃料代の差額にも1km当たり3.4円の差が生じるため、燃料代の節約で最終差額を取り戻せる距離はヤリスクロスハイブリッドと同等です。
1年間の走行距離が1万kmなら12年、1.5万kmを走れば8年で取り戻せます。
以上のようにガソリンエンジンとハイブリッド車の最終差額を燃料代の節約で取り戻せる距離は、ほかの車種についても11万kmから14万kmが多いです。
そうなると損得勘定で判断すれば、1年間の走行距離が1.5万km以内ならガソリンエンジン、それ以上ならハイブリッドがお得といえそうです。
しかし運転感覚の違いも含めると、ユーザーによって評価が変わります。ハイブリッド車に使われるモーターは、回転の上昇に伴って駆動力を高めるエンジンに比べると、瞬発力が強いです。
エンジン回転の下がった巡航中にアクセルペダルを緩く踏み増したときなど、モーターが素早く反応して、エンジンの駆動力を支援してくれます。
従ってハイブリッド車は、ガソリン車に比べて加速が静かで滑らかに感じることが多いです。この快適性に魅力を感じて、1年間の走行距離が1万km以下でもハイブリッド車を選ぶユーザーも少なくありません。
また数年後に売却するときの金額もハイブリッド車は有利です。新車で購入して3年から5年後に売る場合、燃料代の節約で最終差額を取り戻すことは困難ですが、売却額は明らかに高くなります。
購入時にはハイブリッド車とガソリン車を乗り比べて、さらに自分の走行距離なども考慮した上で、どちらを選ぶか判断すると良いでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
C200の1500ターボみたいに至らない低回転域をアシストするマイルドハイブリッドで用は足りるんだけど、車って元を取るに走るのって何だか寂しいな。
本当に国産車って買わされてる商品ばかりだよね。