なぜ「ホコ天」であえて車を運用? キャンピングカーや輸入バスを活用する理由とは
車両通行止めの空間を走る「ARMA」(アルマ)とは
丸の内仲通りでは、もうひとつ珍しいクルマがいました。今度は駐車ではなく、車両通行止めの空間を走行しているのです。
車両は、フランスのNAVYA(ナビヤ)が販売する「ARMA」(アルマ)です。
日本への輸入と車両メインテナンスは半導体関連事業等を手掛けるマクニカがおこない、現在日本には合計10台あります。
これらをソフトバンクグループのBOLDLY(ボードリー・2020年4月にSBドライブから改名)が運用しています。
現在のところ、茨城県境町(3台)や羽田空港のHICityなどで運用されています。
こうした事例ではBOLDLYが提供する遠隔操作支援システム「ディスパッチャー」を活用していますが、今回の丸の内実証では、車内にドライバーと運行管理者が2人乗車する自動運転レベル2での運航で、ディスパッチャーは使用していません。
走行の方法としては、「事前にこの地区での3D地図を生成し、ライダー(レーザーレーダー)などのセンサーによって障害物を検知することを主体に走行しています」(BOLDLY関係者)といいます。
今回の実証は、国土交通省のスマートシティやMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に関する支援事業として、2021年3月8日から14日までおこなうものです。
大丸有地区まちづくり協議会(大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)では、2020年3月に「大丸有スマートシティビジョン」を策定しており、このなかで、誰もが快適、安心、安全に、街の魅力を連続的に体験できる、「スマート&ウォーカブル(歩ける)」という道路空間の形成を目指しています。
こうした発想に加えて、コロナ禍での在宅勤務が日常化したことで、大丸有における働き方改革が一気に進みそうです。
自動運転車の本格導入について、協議会の関係者は「現在、運航している無料の大型バスは企業の協賛によって無料乗車できており、自動運転とアプリで乗り換え情報を連携しています。将来的には、自動運転でも企業協賛のかたちなどが考えされると思います」と説明しました。
自動運転に関しては全国各地で実証や社会実装が徐々に進んでいるものの、車両の購入コストや日常的な運用コストに見合う十分な収益性を保つことが難しいという指摘が多くあります。
そうしたなかで、大企業が集約する大丸有ならではの、さまざまな企業による協賛によって自動運転の定常的な運航や、これと連動したオフィスやお店のさまざまな使い方が実現するのかもしれません。今後の展開に注目したいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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